今年は、戦後農政の大転換の年。支援対象を根本的に見直した「品目横断的な経営安定対策」が始まり、今まで以上に「認定農業者」「集落営農」の活動に注目が集まっています。県内各JAをめぐり、あしたの農業を支える担い手に今後の取り組みと意気込みなどを語ってもらいます。

 上三川街道沿いの上三川町石田下集落の17人で構成される「石田下営農組合」は1月に農事組合法人「石田(いした)ファーム」として生まれ変わりました。経営安定対策への加入申請も完了。今後は組織的営農を行い経理を一元化、一層のコストダウンを図りつつコシヒカリを中心とした農産物の生産・販売、また育苗などの受託などを進めていくそうです。

 石田ファームの原点は「石田下コンバイン利用組合」。その名の通り、大型農機を共同購入し、各農家が交替で共同利用する組織でした。1988年には同所に大型の乾燥機やコンバイン格納庫を併せ持ったライスセンターを設立、収穫から出荷までを共同で行って来ました。さらに今年度からは、種まき、育苗、田植え、収穫までのほぼ全工程を共同で進めていく計画です。

 代表理事の佐久間芳昭さん(同町石田)は「ようやくここまでたどり着いた。各農家では、サイフが一つになることへの抵抗感や、作業でもそれぞれ違ったやり方があったりして意見の食い違いもあるが、全員で話し合ってレベルアップしていきます。いい米、売れる米を消費者に食べてもらいたいという願いはみんな同じだから」と話してくれました。そうした長年の取り組みが評価され、昨年度は県担い手育成総合支援協議会主催の優良集落営農表彰で最優秀賞を受賞しました。

 この日は、13人の構成メンバーがライスセンターに集合し、今年度分の育苗作業に取りかかりました。1600の苗箱に種をまき、新設した育苗ハウスに苗箱を1つ1つ整然と並べていきました。

 石田ファームが注目されるのは、集落ほぼ全員が参加している点で、「県内でも初」(JA栃木中央会)といわれています。リーダーの中の一人、稲見好雄さん(同所)は「メンバーほぼ全員が兼業農家だが、親の代からの農地守るため、地域を支えるため頑張っています。19年間の実績があるから、うまくいってますよ。できればもっとこの輪を広げたいね」。組合の名前から「石田下」の“下”を外したのはそんな思いも込められているようです。

 [写真説明]今年“新調”した育苗用のビニールハウスに苗箱を並べるメンバーのみなさん。この日1日で1600の苗箱をハウス内に搬入しました

 [写真説明]石田ファームのみなさん