イチゴのおいしい季節は12月から5月。でも「一年中、とちぎのイチゴが食べたい」とは誰もが思うものです。ケーキなど業務用における夏場のイチゴの需要は高く、7月から10月までに約3000トンが輸入されています。

 そこで県内でも年間を通したイチゴの安定出荷を図ろうと、2003(平成15)年から新品種「とちひとみ」の取り組みが進められています。消費者の「食の安全」に対する関心の高まりを背景に、市場からも夏場の国産イチゴを望む声は少なくないそうで、年間販売額300億円を目指す「イチゴ王国とちぎ」にとっても黙ってはいられません。

 夏秋イチゴは、名前の通り夏から秋に収穫できるイチゴのことで、成る時期を選ばないため四季成りイチゴとも呼ばれています。これまで北海道や東北などで生産されていましたが、栃木では04年に独自のブランドとちひとみを品種登録申請しました。とちひとみは円すい形の鮮やかな赤で、実が硬く傷みにくく日持ちが良いため業務用には好都合。食味も良く糖度、酸度ともに高めということです。現在、JAかみつが管内の日光市日蔭、JAなすの管内の那須町千振、那須塩原市の高林などの16人が生産しています。

 県内に先駆けて、夏秋イチゴの出荷を始めた日光市の「日蔭やしお清水の郷管理組合」(斎藤紀康組合長)は現在43アールの耕地に、25棟のハウスを設け安定生産を目指し頑張っています。同組合は集落の全43戸が参加してスタート。現在イチゴの生産に男女合わせて11人が携わっています。

 かつては、牛の肥育やホウレンソウ、ダイコンなどが栽培されていましたが、夏秋イチゴが試験的に生産される前は荒れ地となっていました。イチゴ部会の斎藤昭二部会長は「新しい作物は大変だけど、試行錯誤して頑張っていきますよ」。販売は東京・太田市場へ出荷し産地の知名度アップに努めています。ある程度の収量と安定した収入が確保できるようになれば地元への供給や観光農園へと発展させ地域の振興にも役立てたい考えです。

 [写真説明]県内夏秋イチゴ生産の先駆けとなった「日陰やしお清水の郷管理組合」の皆さん=日光市日陰

 [写真説明]夏秋イチゴの目ぞろえ会に参加する生産者ら