食べ物にとって何よりも優先されるのは「安全」であること。栃木県は、JAや各産地と協力し、消費者や実需者からの「食」への信頼を確保するため3年前からGAP(グッド・アグリカルチャル・プラクティス=農業生産工程管理)を推進しています。

 食の安全が脅かされる中、消費者の声に応えようと、生産から消費に至るまでの工程に項目を設け、リスク管理を行うプロセスチェック方式で、全国的に広まっています。通称「ギャップ」。消費者にはなじみが薄いものですが、全県的に始まっているイチゴ、麦をはじめトマト、ナシ、ネギ、ホウレンソウでも各モデル産地で進められています。

 県内で先駆けて取り組みが始まったのは足利のトマト。「トマトは皮ごと直接、口に入るもの。消費者が望む安全・安心のためには農作物という感覚は捨て、食品と同レベルの工程管理が必要です」と言い切るのはJA足利トマト部長の笠原修一さん。GAP3年目を迎える同部は次期の種まきから、全生産者(51人)の全ハウスで取り組みを始めます。プロセスチェック項目もJA担当者、農業指導員、部3役が毎年3回、協議を重ね「現場に即した」項目へと改善を続けてきました。

 2008年度のJA足利の自主管理チェック項目は、3年に1度の栽培用水の水質検査、毎年の栽培面での59項目、そして毎日の衛生面での29項目と全89項目。県内では“トップレベルの厳しさ”です。

 また、昨年度から多機能多選別選果機を導入し、その選果場にも40のチェック項目があります。作業員は場内での帽子、上履きの着用、手のアルコール消毒を行い、パック詰めを行う部屋の入り口にはエアーシャワー、窓にはハトなどの侵入を防ぐネットも張り巡らし、最善を尽くしています。

 JA足利営農生活部園芸特産課の斎藤弘和課長は「GAPは強制するものではありませんが、トマト部の素晴らしい点は生産者同士で助け合い、指導し合うところ。でなければ長続きしません」といいます。強い産地として、消費者の信頼を勝ち得る努力。ブランド『あしかが美人』のおいしさの裏付けでもあります。

 [写真説明]JA足利のトマト選果場。毎日60人の作業員が5000ケース以上のトマトを選果しています=足利市野田町

 [写真説明]トマトの収穫作業。ハサミのアルコール消毒もチェック項目の一つ