麦の収穫と出荷準備、保育園児とサツマイモ植え、そば店の切り盛り…。壬生町西部にある下稲葉営農集団の活動は多岐にわたります。集団長の中島正さん(57)は「休耕田など農地として生かされない土地を何とか管理してきた。それが地域の活性化に発展したんです」と説明してくれました。

 同集団は1978年、水稲とビール麦(二条大麦)の共同作業を目的に8戸の農家で結成。作業の効率化で生み出した余剰労力によって、イチゴやトマト、ソバ、養鶏など集団員各自の経営に力を注ぎ、規模拡大を図ってきました。 

 個別の経営基盤が強固だからこそ、集団としての活動の幅が広がります。生産活動に加え、地域の活性化事業を積極的に展開しているのが大きな特徴です。

 「休耕田は見た目も悪いし、雑草や虫などほかの農地にも被害が広がる。何年も放っておくと、復元は困難です。担い手集団として、農地を守りたい」(中島さん)。担い手の高齢化や転作などで増えた遊休農地を借り受け、農地と景観の保全に力を入れています。

 作業受託は年々増え、現在は水稲(3ヘクタール)、麦(5ヘクタール)を管理。休耕田を利用したコスモス祭りには毎年、県内外から6000人が訪れる人気イベントに成長しました。また、農業用水沿いにシダレザクラやハナミズキを植栽。都市部との交流を目的にソバ畑のオーナー制度も実施しており、2005年7月には「農家そば処隠れ家 蕎香(きょうか)」をオープンしました。

 こうした活動が評価され、今年2月に県とJA栃木中央会主催の第5回農業・農村活性化コンクールで最優秀賞に輝きました。

 世代交代しながら、発足当時と同じ世帯で歩み続け、今年で丸30年がたちます。中島さんは「みんな知り合いで気心が知れている。チームワークも抜群にいい」。情報交換も行い、お互いに刺激を与え合います。

 今後も活動の軸足は変わりません。中島さんは「集落の財産である農地を荒廃から守ることが使命。片手間でできることではないけど、変わらず守っていければ」と力強く話しました。

 [写真説明]生産受託されている二条大麦。この日は集団員8人が、収穫、荷受け、袋詰めなどの作業を分担して行いました

 [写真説明]地産地消を推進する「農家そば処隠れ家 蕎香」。平日でも多くの人が訪れ、舌鼓を打ちます