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 小山市松沼地区にある「SUNNY(サニー)農園」では、同地区の子どもたちが無農薬野菜作りに取り組んでいます。作業の際には中学生たちが小学生たちを指導。楽しみながら環境について学び、交流を図る貴重な場になっています。実った野菜を収穫する元気な声が響きます。

「サニー農園」で主体となって活動する中学生たち。左から高橋 快成(たかはし・かいせい)さん、増田 椛(ますだ・もみじ)さん、増田 杏(ますだ・あんず)さん、生井 夏帆(なまい・なつほ)さん、吉澤 見知(よしざわ・みち)さん
「サニー農園」で主体となって活動する中学生たち。左から高橋 快成(たかはし・かいせい)さん、増田 椛(ますだ・もみじ)さん、増田 杏(ますだ・あんず)さん、生井 夏帆(なまい・なつほ)さん、吉澤 見知(よしざわ・みち)さん

(企画・制作 下野新聞社ビジネス局)

収穫に集まる近所の子どもたち

 8月中旬のある朝。農園には近所に住む小中学生や保護者ら約30人が集まりました。農園で栽培しているさまざまな野菜類の収穫の日です。子どもたちは三つのグループに分かれ、トマトやオクラ、ナスなどを次々に収穫していきます。それぞれのグループでは、中学生たちがリーダーとなって、子どもたちに刈り取りのコツなどを教えます。
 農園の代表を務めるのは、近くに住む高橋 江理(たかはし・えり)さん(42)。高橋さんは障害者施設で職業指導員を務めています。「引っ越してきて、この土地が遊休農地となっているのを知りました。ここで野菜を作って子どもたちと一緒に地域を盛り上げられないかと思ったのです」ときっかけを振り返ります。約250平方メートルの土地は無償で借り受けることができました。
 娘さんやその友人の中学生らに声をかけると、8人が集まってくれ、昨年の1月から活動が始まりました。栽培方法は自然農法の「菌ちゃん農法」です。木の葉や木の枝などを使って畝をつくる完全無農薬の有機農法を実践しています。「家庭菜園の延長のような感じですね。お金をかけず、自然のもので野菜が作れることを、子どもたちに知ってほしい」というのが、高橋さんの願いです。

地域の子どもたちとともに遊休農地を活用している高橋 江理代表(左)
地域の子どもたちとともに遊休農地を活用している高橋 江理代表(左)

中学生たちが運営を支える

 農園の運営に携わる中学生の一人、増田 杏(ますだ・あんず)さん(15)=小山市立豊田中学校3年生=は「他団体との交流もあり、活動を通して積極的に発言できるようになりました」と話します。遊休農地が増えていることを知り、将来はその活用に取り組めないか、とも考えているそうです。「自分たちが育てた野菜はとてもおいしい」と笑顔を見せます。
 吉澤 見知(よしざわ・みち)さん(15)=小山市立豊田中学校3年生=は、「野菜ができるまでの苦労や、できた時の喜びを知ることができました」とのことです。年代が違う大人や子どもたちとの交流が楽しい、とも言います。「将来は動物関係の仕事を目指しているので、植物など生き物に関わることはいい経験になります」。視野を広げることができたと話します。
 収穫に参加した小学生の保護者は「これだけの野菜を育てるのは大変。なかなかできない体験をさせていただいています」。小学6年生の女子児童は「自分で収穫した野菜はとてもおいしい。切り方なども教えてもらえるので楽しいです」と感謝します。

小学生にわかりやすく野菜の知識や収穫の仕方をレクチャーしています
小学生にわかりやすく野菜の知識や収穫の仕方をレクチャーしています

広がってほしい同様の取り組み

 一連の活動が認められて昨年12月、環境省が主催する『環境教育・ESD(持続可能な開発のための教育)実践動画100選』の社会教育部門に選ばれました。「中学生たちが先生になってくれてとても頼もしい。子どもたちが楽しそうにしている姿を見て、自分でもやってみようと思ってくれる人が出てきたらうれしいです」と高橋さんは期待を寄せます。
 小山市は昨年、オーガニックビレッジ宣言を行いました。有機農産物の生産や環境問題への関心が高まりつつあります。「自分たちの農園を拡大することよりは、こうした取り組みが各地に広がっていけばと願っています」とこれからを展望しています。

 

Profile

SUNNY農園(小山市)

2023(令和5)年1月、小山市松沼の有休農地を活用して開園。約250平方メートルの面積に、完全無農薬で約40種類から50種類の野菜を作っています。高橋代表は自宅の庭で在来種の大豆「海苔豆(鞍掛け豆)」「加治屋在来青大豆」の栽培も行っています。

SUNNY農園(小山市)紹介動画
 
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