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与一伝承館多目的ホールに、勇壮な和太鼓の音が響きます。大田原市を拠点に活動する「与一太鼓」の練習風景です。小学生から大人まで心ひとつに演奏活動を続け、今年で結成25周年を迎えました。今後も地域に密着した息の長い活動を目指します。
(企画・制作 下野新聞社営業局)
力強い演奏で与一の物語を表現

小学校1年生から与一太鼓に参加している那須塩原市の中学2年生、長山拓磨君(14)は、火曜と土曜に行われる練習会で技術に磨きをかけています。与一まつりなど、各種の舞台でも演奏を披露しています。
きっかけは父に誘われて与一太鼓の演奏会を見たことでした。力強い演奏にすっかり心を奪われ、父と一緒に参加することにしました。今では弟も一緒に親子3人でバチを握っています。
小さな頃は当然ながら、単に教えられたことをやるだけでしたが、「那須与一の物語を表現した曲であることが分かってきて、演奏することがさらに面白くなりました」と長山君。曲の意味を考え、自分なりにどう表現するかを追求していく、その奥深さに魅力を感じると言います。
部活は書道部に所属していて、日本の伝統的な文化には高い関心があるそうです。「機会があれば海外でも演奏したい。太鼓を通して日本の文化を世界に広めたい」と夢は広がります。
感性が生きる和太鼓の奥深さ

与一太鼓は現在60人ほどのメンバーで活動しています。週に2回の練習を基礎に、月1回の定期演奏会、地域の祭りや県内外で演奏をしています。その数は年間30回以上に上ります。小学1年生から中学生、高校生、大人まで、幅広い年齢層の人たちが一つにまとまり、勇壮な演奏をつくり上げます。
会長を務める平山文夫さん(67)は、結成当初からのメンバーで、現在は最高齢者でもあります。何か新しいものに挑戦したいと考えていた25年前、下野新聞の「叩き手募集」の記事が目に留まりました。
「和太鼓は体全体を使って演奏しますので、そのダイナミックさにひかれました。誰でも叩けば音が出ますので親しみやすいのですが、楽譜はあっても音階がありません。太鼓のどの部分を使うかなど、自分の感覚が重要になります」。その奥深さも魅力といいます。
地域の文化を世界に発信したい

与一太鼓が演奏するのは、旧黒羽町出身の作曲家 故藤田正典氏が作曲した曲です。代表曲「与一太鼓 組曲」は地元に残る那須与一宗隆公の言い伝えをもとに、その生涯を描いています。与一幼少期の弓の上達ぶりから、屋島の合戦でヒーローになるまでを、5楽章からなる組曲形式で表現したものです。
「演奏を聴いて心を揺さぶられて涙する人もいます。その素晴らしさを少しでも広めたい」と平山さん。長野オリンピックでは、開会式に日本を代表する太鼓として、与一太鼓の音が世界に向けて響きました。平成12年には台湾での公演も実現しました。「地域の伝統文化を伝えながら、世界にも発信する存在になりたい」と抱負を語ります。
Profile
与一太鼓<大田原市>
「与一の里・大田原」の新しい伝統文化として平成5年7月に発足。作曲家故藤田正典氏が創作した曲を中心に演奏しています。各種まつりや市内外の演奏会に出演。平成12年「台湾高雄市2000旗と太鼓 フェスティバル」での演奏経験もあります。
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