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 鹿沼市立北押原中学校創作部の生徒たちは、地元の奈佐原地区に伝わる人形浄瑠璃「奈佐原文楽」(国選択無形民俗文化財)を引き継ぐ活動を続けています。新型コロナウイルス感染症の影響で、2020年の公演は1回のみとなりましたが、生徒たちは見事に演じ切って盛んな拍手を浴びました。

(企画・制作 下野新聞社営業局)

昨年「奈佐原文楽」の活動を行った鹿沼市立北押原中学校創作部の生徒たち。左から元副部長の横山 裕紀(ゆうき)さん、 元創作部部長の本間 結平(きっぺい)さん、三品 遼太(りょうた)さん、島田 愛里(あいり)さん

途絶えそうになった伝統芸能が復活

 奈佐原文楽は200年ほど前に大阪の文楽座の座員たちが奈佐原に住んで、地元の人たちに教えたと伝えられています。地元では公演や保存活動に取り組んでいましたが、25年ほど前、後継者不足のため存続の危機に陥りました。「長老たちから声を掛けられ、30歳代だった私たちが後を継ごうということになったのです」と、地元の人たちでつくる「奈佐原文楽座」の副座長大島 文雄さん(65)は振り返ります。
 若い人たちへの継承の重要性も指摘され、北押原小学校では文楽のクラブが活動しているほか、北押原中学校では創作部が存続の役割を担うことになりました。奈佐原町にある稽古場では文楽座の座員が、月に2回、創作部の部員たちを指導しています。
 創作部はさつき祭りや鹿沼秋祭りなどの機会に稽古の成果を披露してきました。しかし、20年はコロナ禍でこれらの行事が中止となってしまい、古くなっていた稽古場の改修が完成したお披露目の公演「傾城阿波の鳴門 巡礼歌の段~十郎兵衛住家の段」が唯一の舞台となりました。

昨年11月の公演で「傾城阿波(けいせいあわ)の鳴門(な ると)巡礼歌の段~十郎兵衛住家(じゅうろべえすみか) の段」を披露する生徒たち

大勢の人たちに見てもらえて充実感

 同年11月22日の公演会に参加した元創作部部長の本間 結平(きっぺい)さん(16)=当時3年生=は、「先輩に誘われて見学して、自分も伝統芸能を受け継ぐ活動をしたいと思いました」ときっかけを話します。「やればやるほど奥深さを感じる」と言い、その魅力を多くの人に知ってほしいと願っています。
 元副部長の横山 裕紀(ゆうき)さん(15)=当時3年生=は「人形を操って感情をどう表現するかが難しい」と話します。それでも「大勢の人たちの前で演じることができてやり切った思いがありました。少しは文楽を伝えていくことに役立ったかなと思います」と充実感を感じています。
 三品 遼太(りょうた)さん(15)=当時3年生=は「日本文化が好き」とのことで、小学校6年生のクラブ活動から文楽に取り組んでいます。人形をを使うのは難しいとしながらも「公演では多くの人に見てもらえてうれしかった」と語ります。
 島田 愛里(あいり)さん(15)=当時3年生=は、お姉さんがやっていたため興味を持ったそうです。「人形の動きは自分の動きとは違うのでとても大変」と苦労を話します。一方で「大人の人たちに教えてもらいながらやれた3年間はとても楽しかった」と笑顔を見せます。
 現在、高校生になったメンバーは、今後も機会があれば何らかの形で保存活動に関わりたいとしています。

演目の映像を見 ながら、鏡に映る自分たちの動きを一つ一つ合わせて表現してい きます

地域の人たちに支えられて続活動

 創作部顧問の後藤 好子先生は「最初の頃は物語の内容がよく分からなかった子どもたちも、理解が進むと表情が変わってきます。それにつれて人形もその子なりの動きになってくるのです」と活動を通しての成長を話します。何よりも地域の人たちと交流する貴重な場になっているとのこと。「地域との結びつきを常に考えられる人になってほしい」と期待します。
 文楽座座長の町田 充久さん(66)は「小学校、中学校と続けてやっている子どもも多くいます。大人になってからも続けてもらえればうれしい」。
 事務局長の萩原 弘夫さん(55)は「舞台に立った経験は必ずその後の人生に活きると思いますね」。地元の人たちの熱意に支えられ、創作部の活動は後輩たちにバトンタッチされていきます。

 

Profile 

鹿沼市立北押原中学校創作部(鹿沼市)

創作部はその名の通り、普段は自分の好きなテーマを決めて、モノづくりに取り組んでいます。その創作活動の合間を縫って、月に3回、「奈佐原文楽座」の人たちの指導を受けています。部活動はぎりぎりの人数なので新入部員の加入に期待を寄せています。

※新型コロナウイルス感染症対策に留意の上、取材を行いました。(写真撮影の時のみマスクを外してもらいました)

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