【宇都宮】市内で唯一のソバの集落営農組織「古賀志そば生産組合」のそばが好評だ。耕作放棄地対策と農地の景観保全を目的に、地元農家らが栽培を始めたソバで生そばを製造し、古賀志地区周辺のゴルフ場に提供。近くの道の駅や農産物直売所でも販売し「そばならではの風味が味わえる」と人気を集めている。
農業者の高齢化と担い手不足が加速する中、山間ほ場の割合が高い同地区は、耕作放棄地の増加と鳥獣被害が深刻化し、農業生産性の向上と農地保全が大きな課題となっている。
この課題に対応するため、生そばを製造販売する北条麺工房の北条孝男(ほうじょうたかお)さん(75)を組合長に、地元兼業農家などの12人が2020年、生産組合を立ち上げた。
組合員や近隣農家が所有する田5・5ヘクタール、畑1・5ヘクタール計7ヘクタールの耕作放棄地で、在来種のソバを栽培。40~70代の会員が毎年、約5500キロを収穫、そば粉にして生麺に加工している。販売先はレイクランドカントリークラブなど近隣四つのゴルフ場や道の駅うつのみやろまんちっく村、農産直売所あぜみちなど。
同地区は寒暖差が適度にあり、水はけや土の質が良くソバの栽培に適しているという。そばは風味やこしがあり、ゴルフ場で出す昼食のそばは日によっては1日に100食もの注文がある。道の駅などでは2人前555円で販売し、店頭に出すとすぐに売り切れると言う。
北条組合長は「利益は二の次で、古賀志そばを多くの人に知ってほしい。最低でも今の生産を維持し、耕作放棄地解消と景観保全を目指す」と話している。