ロマンの碑の復元について説明する藤原さん

 【芳賀・益子】芳賀町は13日、盗難被害に遭った「ロマンの碑」の復元を担当する陶壁作家藤原郁三(ふじわらいくぞう)さん(78)=益子町芦沼=の陶房で制作過程の見学会を開いた。復元費用の寄付に協力した芳賀町民ら約30人が、藤原さんが作品に込める情熱に触れ、完成への期待を膨らませた。

 藤原さんは、もともとの碑の型などから再現した新たな碑の原型を示しながら制作手法を解説した。今後は本番用を型取りし、乾燥、素焼き、上薬がけ、本焼きで完成に至る。参加者は、乾燥具合と焼く際に縮むことを計算しながらの制作や直径1メートルに及ぶ作品を窯で焼く難しさなど、詳細な説明に熱心に聞き入った。

 藤原さんは、オリジナルの碑の制作者であるハンガリー出身の彫刻家故ワグナー・ナンドールさんと40年以上にわたり親交があった。「碑の復元に大きな関心を寄せてもらいすごくありがたい。これからが正念場。ワグナーさんの気持ちになって、最善を尽くして期待に応えたい」と意気込んだ。

 参加者は、益子町益子にある「ワグナーナンドール・アートギャラリー」も見学。芳賀町下高根沢、斉藤敬子(さいとうけいこ)さん(81)は「制作の裏側を知り、一つの作品を作る大変さ、藤原さんの熱い思いを感じた。町民として碑の復元は本当にうれしく、完成が一層楽しみになった」と笑顔だった。

 町によると、復元費用を募るクラウドファンディングでは、すでに目標の264万円を超える300万円が集まっている。