東日本大震災の被災地を支援するボランティア団体「ともしびプロジェクト宇都宮支部」などは4日、宇都宮大峰キャンパスUUプラザで震災の記憶と経験をつなぐイベント「想い紡ぐ3・11~大切な人の未来のために」を開いた。県民ら約50人が参加し、それぞれの震災当時の経験談などを共有したほか、能登半島地震に生かされた3・11の教訓にも触れた。
福島県浪江町で被災した横山和佳奈(よこやまわかな)さん(25)がゲストスピーカーを務めた。
横山さんは震災当時、高さ約15メートルの津波に襲われた同町請戸小に通っていた。同校の行事、地域の祭りなど被災前の日常を写真を交えて紹介し、津波や原発事故で和やかな日常と家族が突如奪われた衝撃や悲しみを、避難の足取りや被災後の生活とともに克明に振り返った。
横山さんは「震災で亡くなった祖父に感謝を伝えられなかったのがずっと心残り。今隣にいる人が明日もいるとは分からない。だからこそ大切な人に今『ありがとう』と伝えてほしい」と話した。
また参加者同士のトークセッションなども行われた。能登半島地震発生直後に避難を強く呼びかけたニュース番組のアナウンスなど、生かされた3・11の教訓について語り合った。
終了後、横山さんは「今後も災害はどこかしらで起こる。多くの人の備えにつながるように、これからも東日本大震災の記憶を語り継いでいきたい」と話した。