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 年が明けて、いよいよ2024年が始まった。皆さんはどんな年末年始をお過ごしだったでしょうか。今年も魅力的な県内のスポットに足を運んでほしい。そんな思いを込めてお届けする#私の好きなとちぎ レジャースポット巡り第6弾。行き先は「佐野市」。

 佐野と言えば、誰もが思い浮かべる佐野らーめん。「佐野やつや」では、佐野らーめんの麺作りに欠かせない青竹打ちに初挑戦することができる。

青竹打ちが体験できる佐野やつや
青竹打ちが体験できる佐野やつや

 宇都宮市街地から車で約1時間。どこか懐かしさを感じる店構えののれんをくぐると、元佐野らーめん会会長で店主の谷津茂(やつしげる)さん(72)が出迎えてくれた。

 早速エプロンと帽子を身につけ、体験をさせていただくことに。作業場に入ると、長さ約2メートル、直径約10センチもの大きな竹が用意されている。青竹打ちは、この竹へまたがり体重を乗せることで、竹と台の間に挟まれた生地を伸ばしていく作業だ。

竹と台にの間に生地をはさみ伸ばしていく
竹と台にの間に生地をはさみ伸ばしていく

 まず谷津さんからお手本を見せていただいた。左足で軽々とリズミカルに跳ねると竹は力強くしなり、みるみるうちに生地が伸びていく。

 イメージトレーニングは完璧にできた。いざ挑戦。竹にまたがり跳ねてみるが、谷津さんのようにスムーズには動けず生地は思いのほか伸びない。生地の上に竹を往復させただけで汗がにじみ、脚に疲労感がたまった。1杯のラーメンに、これほどの職人の苦労がかけられているのか-。

青竹打ちに挑戦する記者
青竹打ちに挑戦する記者

 谷津さんの目測でちょうどいい薄さに伸ばせたら、生地を大きな包丁で麺状に切っていく。細く均等に切れるよう、慎重に刃を下ろし続けた。いよいよ出来上がった麺をゆでていく。これも職人の感覚でタイマーは付けず、麺の粉っぽさが消えて透明感と弾力がでてきたら湯切りの合図となる。企業秘密が詰まったスープに、麺とネギやメンマなどのトッピングを盛り付ければ完成だ。

細く均等に生地を切っていく
細く均等に生地を切っていく

 機械で作る麺とは違い、太さや食感が場所によって異なるのが佐野らーめんの良さでもある。不慣れで太過ぎる部分もあったが、疲れ切った体に丹精込めて打った佐野らーめんは染みた。谷津さんは「自分で作った麺をその場で食べられるのも魅力。汗をかいて作ったらーめんはおいしく感じるでしょう」とねぎらってくれた。

できあがった佐野らーめん
できあがった佐野らーめん

 伝統ある青竹打ちを体験し、食べるだけではない佐野らーめんの楽しみ方を知った。

 おなかを満たした後は、まったりとティータイムはどうだろうか。人間国宝の作った陶器でお茶が飲めると聞き、ホテルサンルート佐野へと向かった。

 ホテルに入って左側、ロビーの一角に茶室「馬歩路亭(まほろてい)」はある。佐野市の伝統工芸品「天明鋳物(てんみょういもの)」で作られた茶釜などの横に、テーブルやイスが並ぶ和洋折衷な空間だ。

「馬歩路亭」
「馬歩路亭」

 茶道に関して、全くの初心者の記者たち。少しおじけづきながら入ると、篠崎良三(しのざきりょうぞう)社長(85)が温かく迎えてくれた。「まずは一服、作法は気にせずどうぞと」お茶と和菓子を薦められた。茶わんは佐野市出身の陶芸家で人間国宝田村耕一(たむらこういち)の作品。柔らかい雰囲気の茶わんに鮮やかな緑が映える。

田村耕一の茶わんに映えるお茶の緑
田村耕一の茶わんに映えるお茶の緑

 菓子を食べた後に、お茶を口に含むと、かなりまろやかな口当たり。あまり苦くない-。「抹茶はすごく苦い」という固定概念を持っていた記者たちには衝撃だった。

 正座をしなくていいのも馬歩路亭の魅力の一つ。篠崎社長は「足が不自由な人や外国の方も気軽に参加できます」と話す。実際にパキスタンからのリピーターもいるらしい。

佐野市の伝統工芸品「天明鋳物」で作られた茶釜などが並ぶ
佐野市の伝統工芸品「天明鋳物」で作られた茶釜などが並ぶ

 茶わんは田村耕一の作品7点を含む25点から好きな物を選べる。飲むだけでもいいが、茶道体験もできる。始めにお茶をたててくれた担当者の松尾啓子(まつおけいこ)さん(68)に指導してもらった。

茶わんは田村耕一の作品7点を含む25点から選べる
茶わんは田村耕一の作品7点を含む25点から選べる

 優しい顔つきの松尾さんだが、指導に入るとキリッとした顔つきになる。お辞儀から入り、ふくさをたたむ動作に入ると途端に「違う!」と声が飛んでくる。

 丁寧にわかりやすく教えてくれているのに、理解したと思った瞬間に記憶が消えていく。頭の中の読み込み機能が完全に停止した。

松尾さんの指導を受けながら茶道を体験する記者
松尾さんの指導を受けながら茶道を体験する記者

 久しぶりに冷や汗をかきながら手を進め、ようやくお抹茶をたてる段階に入る。シャカシャカという音が楽しい。「初めてにしては上出来よ」と松尾さんに慰められながら、自分がたてたお茶を一口飲んでみた。さっきと全然違う。泡が大きくて、苦みを強く感じた。松尾さんとの力量差を痛感し、結果は“惨敗”だったが、2024年、新しいことに挑戦したいという人にはおすすめのできる体験だった。

シャカシャカと音をたててお抹茶をたてる
シャカシャカと音をたててお抹茶をたてる

 ラーメン作りで体を動かした後に、お抹茶で休憩し、グルメに通じた体験で佐野を満喫できた。佐野市は他にも「いもフライ」や「黒から揚げ」などグルメが盛りだくさん。おいしいものには目がないという人はぜひ1度、佐野市を訪れてみてはいかが?

◆佐野やつや 青竹打ち体験

 

住所:佐野市堀米町465-1
営業時間:月曜以外の平日(お昼時を除く)
体験代:大人3000円
    小学生2500円
問い合わせ先:0283-24-2755
青竹打ち体験予約は電話または佐野市観光協会HP(http://sano-kankokk.jp/)から

◆馬歩路亭

 

住所:佐野市朝日町702-27ホテルサンルート佐野1階
営業時間:スケジュールはHP(https://sunroute-sano.com/pg4531806.html)から
お抹茶セット:770円
問い合わせ先:0283-24-5000(要予約)