栃木県の芳賀、市貝、益子、茂木の芳賀郡4町の約1千ヘクタールに農業用水を供給している芳賀台地土地改良区(理事長・入野正明(いりのまさあき)市貝町長)の取水用送水管が那須烏山市内で破損、水を市貝町の調整池にくみ上げられなくなったことが7日、分かった。復旧のめどは立っておらず、今月から本格化する今年の稲作に使う大量の用水の確保に影響が及ぶことが懸念されている。
同改良区によると、4日午後6時半ごろ、同市内の住民から市に「山林で倒木があり、水が流れ出ている」と通報があった。
同改良区は、荒川から取水する同市森田の森田頭首工の揚水機をすぐに停止。5日朝、同頭首工から南西約1キロの民有林の斜面で倒木と土砂の崩落を確認した。地下に埋設した送水管が何らかの原因で破損したことによるものとみられる。
送水管は直径110センチで、2・5キロ離れた市貝町塩田の塩田調整池に今年初めてこの日毎秒240リットルの送水を始めたばかりだった。
同調整池の貯水率は現在82%。田植えまでは供給できても、復旧が遅れ、降雨も少なければ、受益者約1100人の耕作に影響が出る懸念が高まるという。
同改良区は国、県と協議し、破損箇所の確認作業に着手。現場を見た入野理事長は「土中深くで破損していると復旧には時間も費用もかかる」とみている。
10日に国、県、同改良区が現状把握と対応策を協議。12日には受益者など4町の関係者が集まり、節水など当面対応可能な方策を確認する。