「作品を楽しんでもらえれば」と話す土居さん

 宇都宮市の陶芸家土居恭司(どいきょうじ)さんの作陶展が10月4~8日、東武宇都宮百貨店5階マロニエテラスで開かれる。ニワトリやミミズクなどをユーモラスな器形とした水注をはじめ、食器類など約150点を出品する。

 独特の表情を持つ個性豊かな生き物たちは、「逆象嵌(ぞうがん)」ともいわれる「面象嵌」から生まれる。白泥の部分を彫ることで模様を浮き上がらせるこの技法は中国、朝鮮半島で古くから用いられてきた。現在地に築窯後、自身の道を模索していた土居さんは、古陶磁からヒントを得、以来40年近く「伝統の技法を使った新鮮な作品」を目指している。

 パイプ状にした粘土を三角形につなげ、そこにニワトリの頭を付けた「面象嵌鶏型水注」など、近年はオブジェ的な陶作品への転換を図る。「一気に(器から)離れられないから、水差しなんだけど実は使えないとか、まずは器の形を借りて器ではないものを作っている。その辺りも含めて楽しんでもらえたら」。そう語る表情は真摯(しんし)な作り手であり、そこに並んだひょうひょうとした生き物たちと同じようにも見えた。

 1949年愛媛県生まれ。東京芸術大大学院陶芸専攻修了。84年宇都宮市に築窯。県立美術館「千年の扉」展出品など。03年県文化奨励賞。