適切な救命活動を行ったとして那須地区消防本部は26日、栃木県那須塩原市井口、JAなすの職員小川陸(おがわりく)さん(26)に感謝状を贈った。元自衛官で、人命救助の知識を生かした勇気ある行動により尊い命を救った。
小川さんは3月21日午前、片府田(かたふた)地内を車で走行していたところ、道路脇に倒れている60代男性を発見。呼吸はしておらず胸に耳を当てても心音を確認できなかったため、即座に胸骨圧迫(心臓マッサージ)を開始した。
現場周辺は田んぼが広がり、自動体外式除細動器(AED)もすぐに手配できない状況だったが、救急隊が到着するまで救命措置を続けた。男性はその後、一命を取り留め、社会復帰に至るまで回復したという。
小川さんは高校卒業後の2年間、陸上自衛隊宇都宮駐屯地の自衛官を務め、人命救助の知識を学んでいた。現在の職場でも定期的に研修が開かれていることもあり、「実際の現場に遭遇するのは初めてだったが冷静に対応できた。命を救えてほっとした」と振り返った。
大田原消防署で開かれた贈呈式では、永山君春(ながやまきみはる)同消防署長が「一般市民から救急隊、医療従事者へと連携されて、救命の連鎖が途切れることなく実施されたたまものだ」とたたえ、同消防本部消防長名の感謝状を手渡した。