矢板市を南北に貫く県道矢板那須線矢板バイパス沿いにあり、東西の動脈国道461号との交差点からほど近い「道の駅やいた」。北方に目をやると、田園風景の奥に横たわる高原山の稜線(りょうせん)が美しい。
メインの施設「つつじの郷交流館」内には「農産物直売所 旬鮮やいた」と「農村レストラン つつじ亭」が入っている。
お盆直前の8月10日午前10時過ぎ、すでに100台分の駐車場は満杯。臨時開放された市生涯学習館に車を止め、旬鮮やいたに入ると、「いらっしゃーい」の声が耳に入った。
キュウリ、トマト、葉物野菜、スプレー菊…。客たちは品台の間を縫うように動きながら、袋詰めされた品を手に取り、見比べては買い物かごに入れていく。
目を見張ったのは品台の空いたスペースが、瞬く間に補充されたことだ。道の駅を管理運営する第三セクター「やいた未来」支配人の尾形祐之(おがたゆうじ)さん(60)によると、売れ具合が1日6回、各登録生産者にメールで通知され、その情報を基に継ぎ足されている。
生産者は市内中心に塩谷郡市4市町の約390人。野菜や果物、卵、米、加工品、調理品など地元にこだわった品々を求め、訪れる客の6~7割は市内、1~2割が近隣からという。
交流館に隣接する飲食店「お食事・甘味処 和と輪」の建物は切り妻造りで、入るとゆったりした雰囲気。障害者らの就労支援の場として今春オープンした。みそ風味の「焼いたまんじゅう」(420円)などを売り出し中だ。
尾形さんは「生産者が一生懸命にやってくれる。『和と輪』が開店し、にぎわいが増えた。生産者、地域の方々に喜ばれ、おおらかに共存共栄できれば」と話す。関係者の地元愛が下支えする多彩な交流拠点だ。
【メモ】 矢板市矢板114の1。農産物直売所は午前8時半~午後6時(冬季は同5時)、年末年始休業。レストランは午前11時~午後4時、水曜(不定休)と年末年始休業。(問)0287・43・1000。