佐野市で25日夕に発生した突風被害で、住宅の一部損壊が31棟に上ったことが26日、県などのまとめで分かった。住宅の屋根が飛ばされるなどの被害が相次いだ。けが人はいなかった。宇都宮地方気象台は同日、突風はいずれも積乱雲から引き起こされる「ダウンバースト」か「ガストフロント」の可能性が高いとした。
県や市によると、現場は東武佐野線葛生駅周辺の住宅街。屋根が剥がれたり、窓ガラスが割れたりしたほか、物置など非住家の被害が18件、倒木やビニールハウスの一部が飛ばされる被害が計16件あった。
同気象台は同日、職員6人を派遣して現地調査を実施。突風は25日午後5時45分ごろ、同市中町から富士見町にかけて発生し、この時、活発な積乱雲が付近を通過していたとした。風速約50メートルと推定され、6段階で突風の強さを示す「日本版改良藤田スケール」では下から2番目の「JEF1」と判断した。突風の時間は比較的長時間の10分程度との証言が複数あったという。
同市中町、米菓店店主の蓼沼幸雄(たでぬまゆきお)さん(76)は「雨風がかなり強く、屋根が50メートルほど飛ばされた」と振り返った。屋根瓦が剥がれたという同市富士見町、会社員男性(59)は「家の上で、ガンという何かが当たる音が聞こえた」と話した。
同市は27日から葛生行政センターで、罹災証明書と被災届出受理証明書の受け付けを行う。時間は午前8時半~午後5時15分。また葛生清掃センターで災害ごみを受け入れる。