たいまつに火をともして下山する参加者

 【佐野】たいまつで山道を照らしながら下る伝統行事「浅間(せんげん)の火祭り」が20日夜、奈良渕町の浅間山で4年ぶりに行われた。家族連れなど約100人がたいまつを慎重に運びながら、無病息災などを願った。

 約千年前、平安時代の武将藤原秀郷(ふじわらのひでさと)の一族が威勢を誇示するために山頂で火をたいたのが始まりといわれ、1988年に市民俗無形文化財に指定された。夏の恒例行事として地元住民に愛され、現代まで続いている。

 午後7時ごろ、山頂の神社に祭りの実行委員会らが参拝し、五穀豊穣(ほうじょう)や祭りの無事を祈願。「ふったけるぞ、ふったけるぞ」と元気なかけ声を上げ、積まれたわらなどに火がともされた。

 参加者は火の明かりを頼りにゆっくりと下山。オレンジ色の火の玉がゆらゆらと浮かび上がり、夏の真っ暗な山肌を照らした。

 初めて参加したという城北小4年藤川侑季祢(ふじかわゆきね)さん(10)は「すごい楽しみにしていた。火が熱く、持って下りるのが大変だった」と汗を拭いつつも満足げ。斎木幹雄(さいきみきお)実行委員長(79)は「子どもたちの夏の思い出になればうれしい。今後も伝統を続けていきたい」と話した。