栃木市は10日の定例記者会見で、同市藤岡町内野の渡良瀬遊水地の人工巣塔に定着している国の天然記念物コウノトリが市内で初めて産卵したとみられると発表した。推定産卵日は3月31日で、ふ化は5月5日ごろになる見通し。
市渡良瀬遊水地課によると、コウノトリは2021年に小山市の人工巣塔で生まれた雄「りょう」と兵庫県淡路市生まれの雌「淡夢(あむ)」のペアでいずれも3歳。
2羽は2月上旬に遊水地内への飛来が確認されていた。3月上旬から交尾らしき行動をとり、同下旬から交代で巣に伏せる行動をとっていた。巣の上で滞在する時間が長くなり、市は今月3日、専門機関の兵庫県立コウノトリの郷公園に観察記録を提供し、「産卵が推定される」との回答を得た。
人工巣塔は22年3月に設置された。その後、営巣したコウノトリはいたが、繁殖には至らなかった。会見で大川秀子(おおかわひでこ)市長は「静かに温かく見守り、1カ月後にひな誕生の発表ができることを心待ちにしている」と話した。
小山市の人工巣塔でも3月にコウノトリの産卵が推定されており、渡良瀬遊水地内2カ所でのひな誕生が期待されている。