2019年10月の台風19号で、中心部などが水害に見舞われた栃木市。市内の指定避難所に開設当初から保健師を派遣し、市民の健康観察を行った。
当初は避難中のけがや体調不良を訴える人を想定していたが、避難生活が長引くとともに要配慮者ら被災者の体調確認を重視。避難所にとどまることの多い高齢者に、体重増加やエコノミー症候群を予防するため体を動かすよう助言した。集団生活で感染症が広がるリスクがあるため、トイレや手洗い場をこまめに消毒し、居住スペースを定期的に換気するなど衛生管理にも気を配った。
一方、栄養士は避難所を巡回し、血圧測定や聞き取り調査などを実施。その中で課題の一つに弁当が挙がった。一律で配られた弁当は高カロリーだったため、人工透析を受けている人や、高血圧など持病を抱える人にとっては、体調が悪化する恐れがあった。そこで、持病がある人や高齢者ら希望者には、減塩・低カロリーの弁当を準備した。

同市は指定避難所の運営担当職員と保健師らが年1回、避難所となる施設を訪問。物品や防災食の賞味期限などをチェックしている。
同市健康増進課の毛塚裕子(けづかゆうこ)課長は「県や関係団体からさまざまな支援を受けられた」とした上で、関係各所との調整や自宅避難者の把握の必要性にも言及した。