1月、国内は目を疑うような衝撃のニュースであふれた。大地震、航空機事故、新幹線の大規模運休、自民党派閥の裏金問題-。尊い命が奪われる事件もあった。波乱の幕開けとなった2024年1月を振り返る。

 

火災で焼失した「輪島朝市」で捜索に当たる栃木県警の緊急災害警備隊=1月14日午前11時50分、石川県輪島市
火災で焼失した「輪島朝市」で捜索に当たる栃木県警の緊急災害警備隊=1月14日午前11時50分、石川県輪島市

 新年を祝う日が一変した。元日の夕刻、石川県を中心とした能登半島地震が発生した。建物の倒壊や火災が相次ぎ、1月末時点で死者は238人。今も19人の安否が分かっていない。本県からも医療機関や自治体などから多くの支援者が被災地入りしている。

 翌2日。大地震の被害を伝えるニュース番組の画面が、一斉に東京・羽田空港に変わった。同日夕、日航機と海上保安庁機が滑走路で衝突、炎上した。日航機の乗員乗客379人は約18分で脱出し、無事だった。一方、海保機の乗員5人は帰らぬ人となった。亡くなった1人は本県出身の通信士=当時(27)=だった。

男児2人の遺体が見つかった住宅や車を調べる捜査員=8日午後、宇都宮市上戸祭町
男児2人の遺体が見つかった住宅や車を調べる捜査員=8日午後、宇都宮市上戸祭町

 悲惨な事件も起きた。7日深夜、宇都宮市上戸祭町の住宅で、保育園児の4歳と2歳の兄弟2人の遺体が見つかった。母親(33)が無理心中を図ったとみられ、宇都宮中央署は24日、殺人容疑で母親を逮捕した。家族関係の悩みがあったとされる。幼い命が失われた悲痛な現実に胸が痛んだ。

 7日、政界に激震が走った。2023年から続く自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金問題が新たな局面を迎えた。東京地検特捜部が政治資金規制法違反容疑で現職の衆院議員を逮捕する“異常事態”に発展した。その後、安倍派、岸田派、二階派が解散を表明するなど、自民党を根底から揺るがす状況が続いている。

 一方、経済界は株高に沸いた。22日の東京株式市場の日経平均株価(225種)の終値はバブル経済期の1990年2月以来、約34年ぶりに3万6千円台の終値となった。

東北新幹線の運転が終日見合わせとなり、混雑する在来線の改札口前=23日午後5時35分、JR宇都宮駅
東北新幹線の運転が終日見合わせとなり、混雑する在来線の改札口前=23日午後5時35分、JR宇都宮駅

 “異例”の事態は続いた。23日午前、JR東日本の新幹線で架線トラブルが発生。停電により東北、上越、北陸の各新幹線で大規模な運休に陥った。広範囲交通網が乱れ、約10万人に影響した。県内でも宇都宮駅などで足止めとなる人が続出。移動を諦めホテルに宿泊する利用客もいた。

 全国に衝撃が走ったのは26日。1974〜75年に起きた連続企業爆破事件の一つに関与したとして、爆発物取締罰則違反容疑で指名手配されていた過激派のメンバー、桐島聡容疑者(70)とみられる男を、警視庁公安部が発見した。神奈川県鎌倉市の病院に入院中、男は「桐島聡」だと名乗ったという。しかしその3日後、入院先の病院で死亡した。DNA型鑑定などで身元確認を進めているさなかだった。

2年連続12度目のセンバツ出場が決まり、小森主将を胴上げして喜ぶ作新ナイン=26日午後4時10分、宇都宮市一の沢1丁目
2年連続12度目のセンバツ出場が決まり、小森主将を胴上げして喜ぶ作新ナイン=26日午後4時10分、宇都宮市一の沢1丁目

 暗いニュースが続く中、作新学院が明るい話題を届けてくれた。26日、第96回選抜高校野球大会に2年連続12度目の出場が決まった。日本一への決意を新たにした作新ナイン。聖地での躍動に注目が集まる。

 1月最後の31日。県内は暖気が流れ込んだ影響で3月中旬から4月上旬並みの陽気となった。

 「冬来たりなば春遠からじ」。2月は明るいニュースであふれることを願わずにはいられない。