大田原市の那須野が原ハーモニーホールで開催された将棋の第73期王将戦7番勝負第1局の前夜祭に詰めかけた将棋ファンは、藤井聡太(ふじいそうた)王将(21)と挑戦者の菅井竜也(すがいたつや)八段(31)に熱い視線を送り温かく迎えた。
同ホールには開館時間の午前9時から入場者の列ができ始め、午後3時の受け付け開始には約100人が並んだ。
午後6時過ぎ、両棋士が舞台に登場すると、盛大な拍手が送られた。藤井王将は「新年明けて最初のタイトル戦でいよいよこれから一年の戦いが始まる。面白い将棋を指せるよう全力を尽くしたい」、菅井八段は「すごくいい状態で王将戦を迎えられた。厳しい戦いになると思うが、自分の振り飛車を信じて頑張っていきたい」と意気込みを語った。2人にはJAなすのからイチゴなどの記念品と花束が贈呈された。
日本将棋連盟会長としてあいさつした羽生善治(はぶよしはる)九段(53)は、挑戦者として臨んだ前期の王将戦が第6局までで決着し同市での第7局が実現しなかったことに触れ「申し訳ございませんでした」と述べ、会場の笑いを誘う一幕もあった。
神奈川県横須賀市浦賀の諏訪智江(すわともえ)さん(80)は早朝に車で自宅を発ち、会場の最前列を確保。「藤井王将に『頑張って』と気を送りました」と話した。父と訪れた大田原小2年広瀬音和(ひろせとわ)君(8)は抽選で藤井王将直筆の色紙が当たり「話も聞けたし楽しかった」と笑顔だった。