道の駅うつのみやろまんちっく村を運営するファーマーズ・フォレスト(宇都宮市新里町、松本謙(まつもとゆずる)社長)は25日までに、道の駅敷地内の多目的ドーム「ローズハット」の改修に着手した。本年度の観光庁の補助事業に同社の計画「大谷石文化を発信するサステナブルな拠点づくり」が採択されたことを受け、大谷石細工の技術継承や体験・ツアーの提供、近くの「岩本観音」の保存活動に取り組む、持続可能な観光拠点として再整備する。2024年3月完成予定。
同社によると、大谷石は日本遺産「大谷石文化」として脚光を浴びる一方、手彫りの技術、建物などが失われようとしているとして、持続可能な観光地づくりを進める。技術継承者の育成や周遊促進など地域の好循環を図る。同庁の訪日外国人旅行者周遊促進事業費補助金に採択された。
計画は3本柱で、(1)大谷石細工の人材育成・技術継承の環境整備(2)大谷石細工の技術をテーマにした体験・ツアーの提供環境の整備(3)岩本観音など持続可能な観光整備の仕組みづくり-を掲げた。
観光客を受け入れる基盤としてローズハットを改修する。熱帯植物を展示していた延べ床面積約3700平方メートルの施設で、旧熱帯温室の非公開区画を大谷石廃材を活用して改修する。
約300平方メートルのスペースは、大谷石細工の体験、技術演習、制作風景や作品の見学ができる体験型ギャラリーにする。団体客向けの大谷石細工体験や昼食用のスペースも確保する。飲食提供スペースは、売り上げの一部を岩本観音の観光整備に寄付するドネーションカフェと位置付ける。
敷地内にある宿泊施設を活用し、短期~中長期の滞在型の大谷石細工技術研修プランも企画する。鹿沼組子など県内伝統工芸と組み合わせた大谷石細工作りや、地元農産物の料理を大谷石の食器で味わうツアーなどの観光コンテンツも用意し、24年4月からの提供を目指す。
同社企画・営業開発プロジェクト推進室の中山高行(なかやまたかゆき)課長代理は「大谷石細工の石工を育成する機関がなく、このままでは途絶えてしまう。大谷石文化を持続させるためのハブにしていきたい」と話している。