土器片などが展示されている館内

 【大田原】湯津上の市なす風土記の丘湯津上資料館は24日まで、ミニ企画展「令和4年度発掘調査速報展」を開いている。市教委が2019年から実施している古代の幹線道路「東山道駅路」と関連遺跡の発掘調査のうち、昨年度分の成果をまとめた。

 企画展は「佐良土上の原Ⅱ遺跡」で確認された南北170メートル以上にわたり続く区画溝や、その約20メートル内側にほぼ平行に走り北端部が直角に曲がる区画溝、奈良・平安時代の建物跡などを紹介。古代の役所など「官衙(かんが)」関連の遺跡である可能性をうかがわせる内容だ。

 会場には、同遺跡から出土した土器片10点のほか、成果を伝える写真やパネルを含めて約30点並ぶ。

 調査区南東部では、11軒の「竪穴建物跡」を確認し、区画溝と重なっている住居跡からは7世紀後半の「須恵器坏(つき)片」が出土した。同館の鈴木志野(すずきしの)学芸員は「関連性は分からないが、住居よりも後に溝が掘られた可能性がある」と説明する。

 本年度の本格的な発掘調査は19日から始まる予定。市教委の長谷川陽(はせがわあきら)学芸員は「丁寧な調査を実施し、この遺跡の性格を明らかにしていきたい」と意気込んでいる。

 午前9時~午後5時。月曜休館(祝日の場合は翌日)。入館料100円(大学・高校生50円、中学生以下無料)。(問)同館0287・98・3322。