【栃木】縄文時代の集落跡とされる中根八幡遺跡(藤岡町中根)の発掘調査を進めてきた国学院大栃木短大と奈良大は27日、同遺跡周辺で、最終調査に関する現地説明会と、当時の食事などを体験する初の「縄文まつり」を開催した。
同遺跡からは縄文時代前期~晩期(約6千~3千年前)の土器が見つかっており、ドーナツ状に土が盛られた環状盛土(かんじょうもりつち)遺構が確認されている。両校が2015年度から発掘調査してきた。
最終年度の今年は21~28日に調査を実施。説明会では、従来より深い30~40センチの住居の柱穴を確認し、鳥の頭を模した土器の取っ手などを発見したことを報告した。
調査団は9年間の調査結果について「人々が長期間にわたり造成を繰り返して生活していたこと、見つかった黒曜石から東北や関西地方とも交流があったことを確認できた」とした。
縄文まつりでは同短大の学生らが黒曜石で切った鹿肉を土器で煮込んで鍋を作り、クルミや栗、エゴマのクッキーを焼いて縄文時代風の食事を再現。地域住民ら約200人が訪れ、当時の生活への理解を深めた。
同短大の大工原豊(だいくはらゆたか)准教授は「今後はこの遺跡にとどまらず渡良瀬縄文文化圏の実態を明らかにしていきたい。縄文まつりは調査のレガシーとして来年以降も続けていきたい」と話した。