物販店の減少や飲食店の増加など、変わりつつある街なかの商店街。今後のまちづくりのヒントを得ようと7月、「宇都宮中心商店街みやヒルズ活性化委員会」(檜山昌彦(ひやままさひこ)会長、以下みやヒルズ)が実施した中国、四国地方の商店街視察研修に同行してきました。参考にすべき先進的な取り組みや、地方の商店街が抱える共通の課題などが見えてきました。

 みやヒルズは、オリオン通り、ユニオン通り、東武馬車道通り、池上町の商店街組織と東武宇都宮百貨店で構成し、市中心部の活性化を目指している団体だ。今回は各商店街の理事長ら9人が参加し、アフターコロナの状況を見て回った。

「栃木もできる」

高松丸亀商店街を視察する檜山会長(右端)ら

 JR高松駅から徒歩10分ほどの距離にある高松丸亀町商店街。広大なアーケードの中心に位置する壱番街前ドーム広場には、ルイヴィトンやロレックスなど高級ブランド店が軒を連ねる。視察メンバーからは「商店街とショッピングモールの中間のような雰囲気」「10年前に比べ、若者向けの新しい店が増えている」との声が上がった。

 同商店街は、平成初期から民間主導による再開発に着手。土地の所有と利用を分離する方法で合理的なまちづくりを進めてきた。一貫して目指すのは「商店街周辺は高齢になっても住みやすい場所」という姿だ。時代によって業種構成は変化するとの前提に立ち、循環が起きる場づくりに注力してきた。

洗練された雰囲気の中、多くの人が行き交う高松丸亀町商店街

 その結果、近年はアパレル店の撤退が相次いだものの、美容・サービス業や宝飾店などがその穴を埋めた。近隣ではマンション建設が相次ぎ、子育て世代から高齢者までが新たに移り住む。人と店の循環が起こり、それが街の活力となっている。同商店街振興組合再開発担当の明石照夫(あかしてるお)副理事長(74)は「『しなければならない事』を見極め、着実にやることが大切。丸亀が特別ではなく、やる気になれば栃木でもできる」。

店が入れ替わり

 宇都宮の中心商店街と同様の課題に直面しているのが松山市の大街道商店街だ。日中に通りを歩くと、開店前のチェーン居酒屋やカラオケ店が目立つ。「以前は○○屋さんのような専門店が多かった。オーナーの高齢化で店が入れ替わり、ルールを守らない店や客が増えた。治安悪化が課題だ」と同商店街振興組合事務局の村上忠夫(むらかみただお)さん(64)は危惧する。

カラオケ店や居酒屋などが目立つ松山市の大街道商店街

 愛媛県は車社会であり、郊外の大型ショッピングモールに地元客が流れるという状況も宇都宮市と同じ。「昔は三越と高島屋の間に商店街があり、コンパクトで良かったのだが…」(村上さん)。

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 視察の成果をどのように生かすのか。檜山会長(53)は「各商店街とも宇都宮よりフランチャイズ店舗が入っているのが印象的だった」。その上で、次世代型路面電車(LRT)の西側延伸が活性化の鍵になると位置づけている。「(松山市では)路面電車による回遊が機能していた。宇都宮も商店街という線から、面で考えていく必要がある。このチャンスを逃さないための取り組みを考えたい」と力を込めた。