渡良瀬遊水地周辺で実施する事業

 NPO法人ラムサール・ネットワーク日本(東京)と渡良瀬遊水地コウノトリ・トキ定着推進協議会(事務局・栃木県小山市)は11日、IT大手グーグルの関連子会社「Google Asia Pacific(グーグル・アジア・パシフィック)社」の支援を受け、同遊水地や周辺淡水域の環境改善と生物多様性向上に向けたプロジェクトを実施すると発表した。同遊水地では民間団体が環境保全活動に積極的に取り組んでいるが資金面がネックとなっており、関係者は「活動の起爆剤になる」と期待を高めている。

 「グーグル水管理プログラム」の一環として、3年間で約25万ドル(約3200万円)の資金提供を受ける。同プログラムは、2030年までに自社の事業所などで消費する量より多くの水の補充・再生を目指す取り組み。事業展開する地域共同体の水質や安全性を高め、健全な生態系の回復にも寄与するなどとしている。

 米国のコンサルタント会社を通じて昨年、多摩川や利根川などでの水の保全活動支援について同ネットワークに打診があり、関係の近い同協議会への支援が決定した。期間は今月から25年12月まで。

 支援を受けて渡良瀬遊水地周辺で実施する事業は(1)湿地の保全(2)水田ビオトープ(江)の実施(3)取水ポンプの設置、冬季湛水の実施(4)環境教育のためのハンドブック作成、頒布-の4項目。

 コウノトリなど鳥類の採餌環境として必要な湿地の喪失防止・維持のため、重機や自動草刈り機を活用。周辺農家との連携では、井戸を掘ってポンプを設置して農家に水を提供し、冬の田んぼを湛水する。

 環境教育では、渡良瀬遊水地保全・利活用協議会やNPOなどが中心となってハンドブックを作成。周辺の学校や来訪者に配布して、交流・学習活動に生かす。

 小山市役所で開いた記者会見で、同協議会の青木章彦(あおきあきひこ)会長は「量的にも質的にも、より効率的な保全活動が展開できる。これまでの知見を生かし、より良い環境づくりに生かしたい」と話した。