新規就農し、メロン栽培に情熱を燃やす石下さん

 【芳賀】産地のメロン栽培の将来を背負うルーキーがデビューした。東水沼、石下琢朗(いしげたくろう)さん(24)は新規就農し、初の収穫期を迎えた。「『メロンと言えば石下』といわれるような農家になりたい」。県内最大の産地であるJAはが野管内でも町内での就農は例がなく、生産者の高齢化も進む中、大きな期待がかかる。

 園芸の菊やコメなどを手がける農家で育った石下さんは、宇都宮白楊高卒業後、大手種苗会社が経営する滋賀県の園芸専門学校に進んだ。

 さまざまな野菜の栽培技術を学ぶ中、もともと抱いていた「しっかりと手をかけて一つ一つ価値が高いものを作りたい」という思いがメロン栽培と合致した。卒業後は種苗会社の研修社員として働きながら3年間、より深く学んだ。

 昨年は資材の準備などに費やし、ハウスを完成させて始めた今季の挑戦は苦労の連続だった。「教科書的な知識の栽培と実践の違いを思い知らされた」

 ハウスの形やビニールの素材、天気、気温などで変わる温度の確保や、水の与え方などで悩む毎日で「何十年も当たり前に作っている地域の農家の方のすごさを痛感した」と振り返る。

 半面、経験から学ぶ日々は大きなやりがいでもある。「思い通りにいかないことも全てが楽しい」と原動力に変えている。

 JAはが野の主力品種「タカミ」と「クインシー」などを手がけ、36アールのうち25アール分で出荷にこぎ着けた。「感慨深いです」。6月中旬ごろまで、約4千個を収穫できる見込みだ。

 県内一の産地である隣の真岡市でも生産者の減少や高齢化が課題となっている。久々の若者、新人メロン農家の誕生に同JA担当者は「情熱があり、勉強熱心で向上心も強い」と大きな期待を寄せる。

 石下さんは「多くの人に支えられここまで来られた。未熟なことばかりだが、いいメロンを作れるよう努力したい」と意気込んだ。