【大田原】県内の代表的なアユの釣り場、那珂川でアユ釣りが解禁された1日、大勢の太公望が訪れた。今季は天然アユの遡上(そじょう)量が「いつもの10倍」ともいわれるだけに期待は大きい一方、釣果によって釣り人には笑顔とため息が入り交じった。それでも多くが初日の「ムード」を楽しんだ。黒羽地区を取材した。
那珂川右岸にあるおとりアユの販売テント。運営する高瀬おとり店(黒羽向町)の高瀬英雄(たかせひでお)さん(52)は31日から、ずっといた。日付が変わるころから河川敷に客の車が増え、入漁券などを求める人だかりも。
午前10時ごろまでに、例年より多い約100枚の入漁券をさばいた。高瀬さんは「みんな釣果を期待してくれる。いいね」と話す。
空が白み始めた午前4時ごろ、アユが水面を跳ねる姿も見られた。釣り人は肌寒い中、川に入った。
堀之内、会社員生田目一夫(なばためかずお)さん(58)は午前9時ごろまでに、約20匹を釣り上げた。体長は最大18センチ。「去年の解禁日の釣果は2匹。今年は釣れたね」とにんまり。「小さいのは唐揚げに。塩焼きにできるのは10匹くらい」と見立てた。
那須塩原市上厚崎、大貫貢(おおぬきみつぎ)さん(69)は「午前中はゼロだ」とぼやきながらも、待ちに待った解禁日を笑顔で楽しんだ。
数年前にアユ釣りを引退した釣り場近くの元県職員蓮実浩(はすみひろし)さん(85)は、状況が気になり河川敷を訪れた。「きょうは釣りによくない青ノロが多い。水で流されるといい」と期待した。
釣りの傍ら「解禁日はお祭りみたいなもの」と話し、テーブルを広げ飲食を楽しむ姿があった。釣り仲間と携帯電話で連絡を取り、釣れそうな場所を渡り歩く人もいた。那珂川北部漁協(桧木沢)などは管内の情報を集め発信する。「まだまだこれから」と担当者。アユ釣りは秋まで続く。