現物を展示し、写真とともに解説されている「茂木の五輪塔」展

 【茂木】中世の武士が活躍した時代の五輪塔や板碑などの石造物を紹介する展示「茂木の五輪塔-武士たちの生きた証-」(町教育委員会主催)が、ふみの森もてぎで開催されている。中世の武士の供養塔や墓としての石造物が、茂木を治めた茂木氏が残した「茂木文書」などの資料の裏付けで誰のものか推定でき、町内が中世の地域研究を行う格好のフィールドであることも示している。7月9日まで。

 展示は4月まで同館で開かれた「茂木の考古学 新発見!」の続編に当たる。

 町が2021年度まで3年間実施した遺跡分布調査では、五輪塔を含む中世の石塔が多数見つかった。これらに加え、従来確認されていた五輪塔、板碑、宝篋印塔(ほうきょういんとう)について、茂木文書などの文献や考古資料と対比することで誰の供養塔かを推定した。展示では20カ所の遺跡の大小の石造物を、現物と写真パネルなどで紹介、解説している。

 展示は、現在の町中心部を含む茂木氏領のほか、南部の宇都宮氏家臣飯村氏領、宇都宮氏家臣芳賀氏領、北西部の那須一族千本氏領に分け、各地の石造物が誰のものかを推定している。

 特に茂木氏領内は、茂木文書のうち1482年に作られた「茂木家臣給分注文(もてぎかしんきゅうぶんちゅうもん)」に家臣の誰が領内のどこにいてどれだけの給分を得ていたかが地名と共に詳細に記録されている。これが石塔の供養者を推定する貴重な資料になった。

 展示を担当した中村信博(なかむらのぶひろ)町埋蔵文化財専門員は「中世の石造物が誰の墓かは、茂木以外ほとんどの地域では分からないと指摘する専門家もいる」と話す。

 28日午後1時半からは関連講座「茂木の五輪塔-武士たちの生きた証-」を同館で開催する。定員40人。

 (問)同館0285・64・1023。