色鮮やかな多色刷りの版画を中心に約50点を出品した北岡さん

 【小山】東間々田3丁目、木版画家北岡清(きたおかきよし)さん(94)の作品展が29日~5月7日、立木のギャラリー「たから園現代工芸」で開かれる。9月で95歳を迎えるのを記念した企画で、北岡さんは「元気の秘訣(ひけつ)は物事を極め、夢中になること。100歳での個展開催を目指し、小山の歴史をつくりたい」と意欲を見せている。

 北岡さんは旧足尾町生まれ。戦後間もなく、足尾銅山をテーマに多くの作品を残した市出身の版画家小口一郎(こぐちいちろう)(1914~79年)の作品展に魅了され、版画制作を始めた。

 市内の会社に勤めながら小口に師事し、デッサンや多色刷りの表現方法を習得。さらに、小口の元を訪れていた版画家小野忠重(おのただしげ)(1909~90年)から、1版で多色刷りができる「陰刻法」を学んだ。

 55歳で定年退職後、創作活動を本格化し、独自に研究を重ねた。現在も自宅別棟のアトリエで新作を生み出している。毎朝1時間ほどかけて新聞に目を通し、晩酌に日本酒1合をたしなむ習慣も健康維持に役立っているという。

 今回出品するのは計51点で、花や動植物をモチーフにした多色刷り版画が中心。アマリリスやバラ、ダリアなどを題材にした作品は、陰刻法独特の黒く太い縁取りの内側に赤やピンクといった鮮やかな色彩が施され、力強さと優しさが同居する作風だ。

 北岡さんは「自分が感動したものをテーマにし、見る人が喜ぶ作品ができるようこれからも精進していきたい」と話している。

 同ギャラリーでは期間中、市内在住の陶芸家大嶋登茂子(おおしまともこ)さんと佐野市在住のアクセサリー作家小林利佳(こばやしりか)さんの作品も出展される。

 午前10時~午後6時(最終日は4時)。入場無料。(問)同ギャラリー0285・23・6966。