石井大一朗部門長

2019年10月の台風19号で被災した鹿沼市内でボランティア活動にあたる学生たち(宇都宮大提供)

石井大一朗部門長 2019年10月の台風19号で被災した鹿沼市内でボランティア活動にあたる学生たち(宇都宮大提供)

 『災害とともに生きる』とはどういうことでしょうか。気候変動や新型コロナウイルスが私たちの生活スタイルに変化を生み出したように、災禍は日常とともにあり、私たちはリスクに対する想像力を高め、普段の暮らしに工夫を施して対応してきました。

 このように平常時と災害時を地続きに捉える暮らし方はいざという時の備えになり、私たちの生活や地域を豊かにします。こうした暮らし方を実践するには2つの取り組みが重要です。一つ目は、災害発生時を想像する力を高めることです。私たち1人ひとりの知識や経験には限界があります。想像する幅を広げるために、何を学ばなくてはならないのか問い直す必要があります。

 二つ目は、災害時は平常時の地域づくりの結果が現れるということです。普段から顔見知りの多い地域は、災害時の助け合いも進みやすいでしょう。多彩な住民の参加を得て、日頃から仲間作りや地域を知る活動を進めることも大切です。

 宇都宮大地域デザインセンターでは昨年12月、本県の防災を総合的に支え、リードする地域防災部門を設立しました。月に1回、平常時と災害時を地続きに捉える想像力を養い、ダイバーシティーや土地の歴史、健康づくりなど、本県で生活する私たちが問い直すべきテーマに焦点を当て議論していきます。

 平常時と災害時を地続きに捉え、備えることは、誰にとっても優しく安全なまちをつくることです。災害とともに生きる社会を一緒に構築していきましょう。

 いしい・だいいちろう 地域デザインセンター地域防災部門長。専門は市民参加、地域自治。東北や本県の被災地における自主防災組織や居場所づくりに関する研究および実践活動に取り組む。