近藤伸也准教授

学生が企画した「防災キャンプ」では避難所で使うパーテーションの設営や非常食の試作などを行った=昨年9月、宇都宮大

近藤伸也准教授 学生が企画した「防災キャンプ」では避難所で使うパーテーションの設営や非常食の試作などを行った=昨年9月、宇都宮大

 県民の皆さんは、本県は災害があまり発生しない地域だと思われるかもしれません。しかし、長い日本の歴史からすると偶然発生していなかったと考えられます。私が宇都宮に来てから8年間で2015年の関東・東北豪雨、19年の台風19号などの人的被害を伴う災害が発生しています。

 また今後もさまざまな災害が想定されています。例えば那須岳や日光白根山をはじめとした火山災害のほか、11年東日本大震災などの地震災害、1947年のカスリーン台風や98年の那須水害をはじめとした洪水災害、竜巻などによる風災害、山間地域を中心とした土砂災害などがあります。

 本県は内陸に位置する「海なし県」であるため、津波や高潮災害など海洋に起因する災害に遭遇することはありませんが、海水浴や観光などで海辺に行くことは増加しているので津波や高潮災害についても知っておく必要があります。本県に影響を与える台風と、沖縄県に接近する台風は規模と大きさが全然違います。

 このように本県はもちろん、国内で発生する災害についての知識を備えることによって、災害発生後の対応をこれらの知識に基づいて行えるようになり、より安全に行動できるようになります。

 仮に本県は災害があまり発生しない地域だとするならば、他県で災害が発生した場合にいち早く被災地への支援に駆けつけるとともに、被災地からの長距離避難者を積極的に受け入れるべきだと思います。災害時にできることを教育・研修などで身に付けることが大事です。

 こんどう・しんや 地域デザイン科学部准教授。専門は防災マネジメント。災害発生後の対応を安全にするために日常から訓練、教育、研修などを企画運営するほか、中山間地域の防災について検討している。