「外してもいいと思う」「感染リスクが心配」。県立学校の卒業式は原則、生徒や教職員のマスクを外して行うという県の方針が示された14日、卒業を控えた高校生からは賛否が入り交じった声が上がった。3年間着用に慣れきった生活だっただけに、最後に外すことへの気恥ずかしさや同調圧力への懸念も垣間見える。学校側は、受験生の感染対策なども考慮しながら「晴れの日」をどう迎えるか、具体的な検討を急ぐ。
「マスクでお互いの顔も分からないままだった。見知った顔でも新鮮に映るかも」。宇都宮女子高3年の生徒(18)は、卒業式でのマスク不要の方針を基本的には歓迎する。ただ、高齢者など感染リスクが高い人が家族におり、マスクを外すことを不安視する友人もいる。「外さないことが差別的に見られないように配慮してほしい」と訴える。
一方、栃木女子高3年服部愛織(はっとりまおり)さん(18)は感染リスク増が心配だ。「大学入試の2次試験を控える人もいる。引き続きマスクをすべきでは」と疑問を投げかける。「在校生らが参加する、コロナ前に近い形で安全に式を終えたい。マスクを外すことで余計に緊張してしまい、式に集中できなくなるかも」
宇都宮女子高3年福田詞水(ふくだことみ)さん(18)は「判断に迷う」のが本音だ。高校最後の日に級友の顔は見たいが「マスク生活が長過ぎて、顔を見られるのが恥ずかしく感じる」と打ち明ける。
式は半月後に迫っている。黒磯高の担当者は「マスクを着用する前提で準備してきた」とし「式直前の変更は混乱を招く恐れもある。生徒の思いも踏まえて決めていく」と話す。
足利高の担当者は、国公立大入試の後期日程を控える生徒を気にかけ「安心安全を第一に、総合的に考えたい」とする。
一方、県北の県立高は入退場時はマスクを外すが、校歌などを歌う式典中は、着脱の混乱を防ぐために着用を求める方針だ。
担当者は「3年生の担任は、一度は式典で校歌を歌わせてあげたいと願ってきた」と説明する。「着用した状態でも生徒が校歌を歌い、最後の呼び名に返事があるのは教員にとってもうれしい」とマスクの有無だけではない喜びに言及した。