街から明かりが消えた。2011年3月15日、県内で初めて「計画停電」が実施された。翌16日には夜間で初めて実施され、宇都宮市内などでは暗闇の中、車のライトだけが周囲を照らした。

東日本大震災の影響で電力供給が大幅に不足するとして、東京電力が計画停電を発表したのは震災から2日後。一般病院すら例外ではなく、計画停電の打ち切りが発表された4月8日まで、停電時間をにらみながらの診療や検査、手術が続いた。

ガソリンスタンドの沿道には車の長い列ができた。「どこも売り切れ。給油ランプも付いてしまった」。品薄状態が続き、入荷してもすぐに売り切れになる店舗が相次いだことから、給油のため「はしご」を強いられる人も多くいた。

品薄が解消されるまでは1カ月近くかかった。1人1台が当たり前になっている「車社会」の県内。割り込みによるトラブルや窃盗事件が起きるなど、混乱は大きかった。