「JR宇都宮駅のご当地発車メロディーが突如変更された。なぜ変わったのか調べてほしい」との依頼が、下野新聞の「あなた発 とちぎ特命取材班」(あなとち)に寄せられた。宇都宮線では世界的ジャズサックス奏者渡辺貞夫(わたなべさだお)さん(92)=宇都宮市出身=の代表曲「カリフォルニア・シャワー」が採用されていたが、駅に足を運ぶと確かに音色が変わっていた。最近は首都圏の路線でご当地発車メロディーの廃止が続くだけに、交流サイト(SNS)上には「ついに宇都宮駅も…」と計画的な変更と見る向きもあったが、取材するとJR東日本にも地元の宇都宮市にも想定外の事態だったことが判明した。

宇都宮駅の宇都宮線では10日現在、同線などの他の駅と同じく「首都圏3番」とみられるメロディーが流れており、カリフォルニア・シャワーを聞くことはできない。
■なぜ渡辺貞夫さんの名曲が
そもそも、なぜ渡辺貞夫さんの代表曲が採用されたのか。
JR東日本と宇都宮市によると、2019年に展開した観光キャンペーン「本物の出会い 栃木アフターデスティネーションキャンペーン」の際、ブランド戦略を進める宇都宮市が要望したのがきっかけ。当初は19年の期間限定だったが、好評だったため継続し、これまで鉄道ファンや利用者に親しまれてきた。
しかし今年8月21日、発車メロディーが突然変更された。X(旧ツイッター)では「変わってて泣いた」「ご当地メロだったのでは…」などと惜しむ投稿が相次いだ。
■ご当地メロディーは廃止の流れ
川崎市と東京・立川市を結ぶJR南武線では今春のダイヤ改正でワンマン運転が始まったのを機に、各駅のご当地発車メロディーが廃止された。来春からは横浜・根岸線の八王子駅と大船駅の間でも廃止される見通しとされる。こうした流れを受け、SNSには「ついに宇都宮駅も餌食になったか」と見る向きもあった。
9月中旬になると、Xの一つの投稿が拡散された。あるXユーザーが宇都宮市に変更の経緯を問い合わせたところ、変更の原因はJR東日本側の「作業ミス」で、今後元通りになる予定との内容。市の回答の文面とみられる画像も添付されていた。Xでは復活を喜ぶ人がいた一方で、「作業ミス??」「結局元に戻るのか」など困惑する人や、デマを疑う人もいた。
果たして真相は…。JR東日本に確認したところ、この投稿の内容は事実だった。
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