一般開放された「Honda庭園」

 【芳賀】下高根沢の本田技研工業は、次世代型路面電車(LRT)のかしの森公園前停留場の東側にある同社敷地を「Honda庭園」として整備し、今春から試験的に一般開放している。地域との交流などを目的とした社内提案により実現。今月上旬までに延べ約1万人が利用するなど好評だ。庭園を活用した企画を今後固め、来年度に本格オープンする予定だという。

 庭園は広さ約1万2千平方メートル。これまで社内の憩いの場だったが、認知度は低かったという。そこで資産を有効活用し、地域との関わりを深めようと社員有志が一般開放を提案。プロジェクトチームをつくって昨春から整備し、4月下旬に試験的にオープンした。

 同停留場そばに出入り口があり、園内は起伏のある地形に芝生が広がる。木々の間を歩く道「わくわくトレイル」やバリアフリーを意識した舗装路「らくらくトレイル」、カブトムシやクワガタを見られるようにした「カブトムシハウス」、藤棚などがある。

 同社が稼働する平日の午前10時~午後7時に無料で開放。LRTなどで通勤する社員も歩道として使っており、1日平均で150人前後の利用があるという。夏休み期間中にはキッチンカーが出店し、家族連れなどでにぎわった。

 プロジェクトチームのリーダー久保田剛英(くぼたごうえい)さん(44)は「閉鎖された研究施設だけに、地域へ開かれるようにしたかった。訪れる人が日常的にホンダとつながり、喜びを感じてもらいたい」、メンバーの若木利真(わかきかずま)さん(29)は「活動で地域に関わる視点に気付き、視野が広がった」と話す。

 大関一雄(おおぜきかずお)町長は「地域に目を向けたありがたい取り組み。多くの人に喜ばれる施設になってほしい」と歓迎した。本格オープンに向け、久保田さんは「研究開発のPRや、社会科見学の出発点として庭園を使うようにすることができれば」と意気込んでいる。