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 港町から臨む山には白煙が上がり、消火活動に当たるヘリの音が響く。岩手県大船渡市の大規模山林火災は発生5日目の2日も延焼が続き、終息は見えない。多くの住民が避難所や親戚らの家に身を寄せている。「どこが燃えているのか」「家は大丈夫か」。住民たちは避難所の掲示板の火災情報やテレビのニュースに目を凝らした。ボランティアらが提供した風呂や食事にほおを緩め、何とか前向きに生活しようと気丈に振る舞う避難者の姿もあった。

 2日午前、白煙が立ちこめる山林火災の現場から海を隔てた市内の高台。避難指示区域内に自宅がある平田(ひらた)テルヨさん(92)は、心配そうに現場を見つめていた。1日に夫(93)と市中心部の娘宅に避難した。「命だけあればいい」とこぼす。

 山にははっきりと炎が見える。自衛隊ヘリが海水をくみ上げ、何度も散水に向かった。「こんな光景、この年になって初めて見た。懸命に消火してくれている」と感謝した。

 市によると、避難指示の対象は人口の約15%に当たる4596人まで増えた。このうち約1200人が避難所にいるとみられる。

避難所に掲示された火災情報に見入る避難者たち=2日午後、岩手県大船渡市三陸町越喜来
避難所に掲示された火災情報に見入る避難者たち=2日午後、岩手県大船渡市三陸町越喜来