【栃木】市消防本部の2024年の救急出動件数は前年比160件(2%)増の8203件(速報値)に上り、2年連続で過去最多を更新したことが10日までに、同本部のまとめで分かった。高齢者世帯の増加が主な要因で、猛暑による熱中症、インフルエンザなどの感染症流行も影響した。救急車の逼迫(ひっぱく)状態が発生しており、同本部は適正利用を呼びかけている。

 同本部によると、救急出動の事故種別では「急病」が5516件で最も多かった。うち熱中症は前年比4件減の134件、インフルエンザは19件増の35件、新型コロナウイルスは15件増の80件だった。

 搬送人数は151人増の7111人。65歳以上の高齢者が338人増の4788人で67・3%を占めた。

 1日当たり約22・5件出動し、約19・5人が搬送された計算で、特に7~8月や1、12月は予備車を含めた8台の救急車全てが出動する「逼迫」に近い状態が続いた。現場到着までの平均時間は前年から12秒遅れ、9分29秒となった。

 火災件数は58件減の108件で、うち37件は建物への侵入目的で網戸を焼損した不審火だった。死者は3人、負傷者は5人だった。

 大川秀子(おおかわひでこ)市長は救急車の逼迫状態について「真に必要とする重症患者の対応の遅れに直結するので、呼ぶべきか悩む場合は県の『とちまる救急安心電話相談』を活用してほしい」と呼びかけた。

 看護師の助言を受けられる県の電話相談番号は大人が#7119、子どもが#8000(平日午後4時~翌日午前10時、土日祝日は24時間)。