11月10日告示、17日投開票の宇都宮市長選で、公益財団法人理事長の荒木大樹(あらきだいじゅ)氏(53)が25日、立候補を表明した。同日の出馬会見には、荒木氏を支援する政治団体「みんなのとちぎ」の関係者も出席した。4人目の立候補予定者の主張を紹介する。

住民投票で市民の意向を

 市民が何を求めているのか。市民ニーズに応える市政をすべきだ。次世代型路面電車(LRT)事業は市民の意向を聞いて市域全体、50万市民の希望に沿った形でまちづくりをするべきだ。現市長はJR宇都宮駅西側延伸を公約に掲げたが、LRTが西側に必要なのか。市民が希望する未来の宇都宮の姿なのか。住民投票で市民の意向を聞くのがいいと考える。一部の人だけが描く宇都宮の未来像を上から目線で決めつけているのではないか。

 LRTが西側に延伸すると、生活環境は大きく変わる。西口周辺や沿線の駐車場は減り、車で直接JR宇都宮駅に行きにくくなる。沿線の地価が上がり、マンションも完成し、富裕層や元からの住民は恩恵を大きく受ける。宇都宮環状道路周辺、外縁部の市民は街中に行くのに、LRTの利用を求められる形になる。中心部と周辺部で住民間の貧富の差が拡大する可能性がある。

立候補を表明する荒木氏=25日夕、県庁記者クラブ
立候補を表明する荒木氏=25日夕、県庁記者クラブ

 LRTを通せば何でも解決するようなバラ色な未来ではない。それで解決する問題ではない。LRTの延伸は必要ない。BRT(バス高速輸送システム)で対応可能と考える。完全自動運転の水素バスの輸送システムを導入する。特区を取得し、マイカーもバスも自動運転で行き交えば、解決する問題は多々ある。

 住民投票を実施し、白黒つけるべきだ。市民のニーズを直接聞く。これが民主的で一番の解決方法だと考える。JR宇都宮駅の東側はLRT中心のまちづくり、西側は別の交通システムでつくる歴史文化知識のまち。どちらがよいか。市民が自分の意思で選ぶまちづくりをすべきだ。

 西側延伸にかかる費用で、市民サービスのためにできることがたくさんある。教育では小中学校の給食を無償化すべきだ。高齢者や社会的弱者が利用しやすい公共交通への見直し、老齢者優先の市営住宅を中心部につくる。不妊治療の支援対象の年齢制限をなくす。

 いずれの政策も8年間でやり遂げる。当選しても2選までだ。

主な一問一答

 Q既存政党から支援は受けるのか。

 Aどこの党にも所属しておらず、無所属で出る。支援していただけるのであれば推薦はもらう。

 Q短期間の選挙戦をどう戦うのか。

 A交流サイト(SNS)や公開討論会など、あらゆる手段で、全力で有権者に訴える。

 Q過去に国政選挙にも挑戦した。今回市長選に挑む理由は。

 A国政選挙の時から思いは変わっていない。郷土の市民のために尽くしたい。今やりたい施策は首長でないとできない。

 QLRTの西側延伸には反対なのか。

 A反対。BRTがいい。完全自動運転の水素バスBRTだ。

 Q住民投票でLRTが賛成多数なら推進するのか。

 A西側もLRTでまちづくりを進める。

 Q市長選にはLRT反対派が出馬しているが、差別化する部分はBRTか。

 A住民投票もそうだ。住民投票すれば賛成派も反対派も納得する。沿線だけでなく市内全域の市民の意見を集約した形で、多数決で決まれば粛々と進めていく。宇都宮は市長のものではない、市民のものだ。

 QLRT西側延伸に反対する一番の理由は。

 A一番は費用。二番はまちづくりとして車線が減るなど生活環境が変わることだ。