赤や黒や緑色の穂が実る「いろいろ米」の育成状況を確認する上野さん

 【上三川】五分一(ごぶいち)の農業上野長一(うえのちょういち)さん(73)は、農薬や化学肥料を使わず一つの田んぼに約50種類の稲を混植する米作りを続けて約40年になる。ブレンドした米は「いろいろ米」の名称で消費者に直接販売され、北は北海道から南は沖縄まで顧客は200人を超える。全国でも珍しい取り組みを行う上野さんは「米作りを通じ、消費者と顔の見える関係を築きながら農業をしたい」と意欲を見せている。

 上野さんは3代続く稲作農家で34歳のころ、国の減反政策や多くの農薬を使う現代農業に疑問を持ち、自然農法を始めた。混植は自然環境を生かし一度に多くの品種を育てることで、作付け時期や収穫期をずらし、台風などの災害被害を軽減し作業が分散できるメリットがある。雑草は草の習性を見ながら、除草機を使い取り除くという。