生活困窮者に食料品などを無償提供する県内フードバンクへの寄付が減少しているとして、県フードバンク連絡協議会は28日、県庁で記者会見を開き、市民や企業に支援や協力を呼びかけた。急激な物価高や電気料金の高騰に加え、コメ不足などが寄付を踏みとどまらせていると推測。同協議会の君嶋福芳(きみじまふくよし)会長(65)は「困窮者の下支えを続けることが難しくなってきている」と窮状を訴えた。
県内11のフードバンクが加盟する同協議会は8月、加盟団体に現状を確認するアンケートを実施。「食品受入量の減少に伴い配布量を減らしている」「地域の子ども食堂への支援を一時取りやめている」などの回答が寄せられた。
2023年と24年の4~7月で比較すると、フードバンクうつのみや(宇都宮市)では食品受入量が約6・4トン減るなど、多くの団体で受入量が激減。特に主食となるコメの在庫が底を尽きつつあるという。
一方で近年、県内のフードバンク利用者は増加している。同協議会の集計では、2021年の食品提供件数が3871件だったのに対し、23年は約2・3倍の8927件に増えた。24年に入っても増加傾向は続き、寄付量の減少に伴って需要に供給が追いつかない状況が深刻化している。
同協議会は家庭で使われない食品や、食品関連企業で廃棄となる予定の食品など、幅広い支援を呼びかけている。君嶋会長は「物価高騰などの影響を受け、生活苦の人も増えている。状況を周知し支援の輪を広げていきたい」と強調した。