バリアフリーコンサルティングなどを手がけるNPO法人アクセシブル・ラボ(宇都宮市上戸祭町、大塚訓平(おおつかくんぺい)代表理事)は、コンサルティング事業の対象を大手企業などに拡大し、業種も広げている。事業拡大によってバリアフリーを一層促進し、健常者と障害者が共生できる社会の実現を目指す。
同法人は2013年、車いす利用者でもある大塚氏が設立した。障害者でも外出しやすい環境整備を目指して、情報提供やコンサルティング事業などに取り組んでいる。
7月には、不動産大手ヒューリックのグループ会社で建築設計などを担うヒューリックプロパティソリューション(HPS、東京都中央区)とバリアフリーに関するアドバイザリー契約を締結した。
同グループは東京・銀座や有楽町に40近い物件を保有し、価値向上に向けた建て替えを計画している。その際に、同法人からバリアフリーに関する助言を受けたい考えだ。
HPSの中村太一(なかむらたいち)取締役新事業推進部長は「全ての方にストレスなく利用していただける空間を生み出すため、大塚氏のアドバイスを最大限生かしていきたい」と期待を寄せる。
同法人はトヨタ自動車が今春から供給を始めた移動型バリアフリートイレトレーラーの商品化にも関わった。大塚氏は大人のおむつ替えにも対応できる多目的ベッドの必要性などをアドバイスしたという。
全日本空輸(ANA)では、ホームページに掲載した歩行の不自由な利用者向けの案内動画を監修・制作。住宅設備大手のLIXIL(リクシル)に対しては、リモコンで玄関ドアが開閉する「ドアック」の商品化を支援した。菓子メーカーや街歩きマップの作製団体などとも連携した。
大塚氏は「日常に溶け込むバリアフリー化を目指し、これからも多くの業種の企業などに協力していきたい」と話した。