栃木県内の農地の貸し手と借り手をつなぐ県農地中間管理機構(農地バンク)が2023年度、県内農家などから借り入れた農地は計1658ヘクタール、貸し付けた農地は計1994ヘクタールと、いずれも3年連続で過去最大を更新したことが19日までに、県などの集計で分かった。同機構が創設された10年前(14年度)と比較すると、借り入れ面積は約3・6倍、貸し付け面積は約5・5倍に増加。農地バンクの周知や理解が進み、活用するケースが増えているとみられる。
農家の高齢化や耕作放棄地の増加が懸念される中、農地バンクは持続可能な農業の実現を目指し、担い手や新規就農者への農地集約を進めている。借り入れ面積は前年度比で8・1%、貸し付け面積は6・3%増えた。
貸付先となった経営体(農家や農業法人など)の数は1109で、最多だった1072(17年度)を上回った。
県内耕地面積のうち、認定農業者ら担い手への農地の集積率は1・4ポイント増の54・5%で、過去最高を更新。全国では15位、関東では最も高い。国が策定した日本再生戦略で掲げた「23年度までに集積率80%」には届いていないが、県生産振興課は「集積は着実に進んでいる」と分析する。
農業経営基盤強化促進法の改正を受け、来年4月以降、農地の貸し借りは農地バンクに一本化され直接取引ができなくなる。さらなる農地バンクの利用増が見込まれるため、同機構は組織体制の強化を図る方針。
将来的な農地の在り方を定める「地域計画」を本年度末までに策定する必要があり、県内各市町は作業を進めている。計画には10年後に誰がどの農地を耕作するかが明記されるため、同機構は「計画を基に担い手への集積・集約に取り組んでいく」としている。