菊地さんの父克雄さんが保管していた日章旗

菊地克雄さん=1938年ごろ

菊地さんの父克雄さんが保管していた日章旗 菊地克雄さん=1938年ごろ

 栃木県那珂川市馬頭の特定社会保険労務士菊地雄一(きくちゆういち)さん(72)は14日までに、父の故克雄(かつお)さんの遺品の中から出征時に贈られたとみられる日章旗を見つけた。生前の克雄さんは戦争について語らず、日章旗の存在を親族は誰も知らなかった。菊地さんは「大切に保管していたのは意外だった。当時を伝える資料として反戦のために使ってほしい」と願っている。

 克雄さんは1920年6月生まれ。戦時中は現在の福島県二本松市から出征し、朝鮮半島で軍務に就いた。復員後は旧馬頭町で米屋を営み、2004年に84歳で亡くなった。

 日章旗は昨年11月、菊地さんが自宅の片付けをしている時に棚の引き出しの奥から見つけた。縦70センチ横100センチで、「武運長久」「義勇報国」などの文字と共に、白地を埋めるように克雄さんの兄弟姉妹や知り合いの名前が書き込まれている。

 菊地さんは「大変なものを見つけてしまった」と実感。「容易に処分できる物ではなく困惑した」というが、父に発見を報告する意味などを込め、お盆中は仏壇に供え、その後も保管することにした。

 戦争を伝える資料として希望する人には貸し出す考え。「学校教材や映画撮影のセットなどで活用してもらえれば」と話している。