野木町長選で5選を果たした現職の真瀬宏子(ませひろこ)氏は、盤石な態勢で終始、選挙戦を優位に進めた。政策で大きな争点が見られない中、焦点となったのは「多選の是非」だった。だが新人3氏の出馬で批判票は分散。組織力と知名度の高さから現職の真瀬氏有利に働いた。
仮に一騎打ちや三つどもえだったとすれば、苦戦を強いられた可能性は高い。投票率も低かった。5期目に向け、こうした状況を謙虚に受け止めるべきだ。
真瀬氏は明るく柔らかな物腰で町内外から人気が高く、幅広い人脈を誇る。国指定重要文化財の野木町煉瓦窯(れんががま)修復を手がけ、ヒマワリやフクロウなど町の魅力を生かしたまちづくりの先頭に立ってきた。こうした実績や手腕は、多選を経て培ってきたと言える。
一方、無意識ではあっても、独善に陥ったり組織の硬直化を招いたりする危険性をはらむ。町職員を含め町民が主体的に参画できる町政の仕組みづくりを進めるなど、意識的に弊害払拭(ふっしょく)に力を注ぐべきだ。人口減少・高齢化という難題を抱える中、自身の手腕をどうアップデートさせて持続可能な将来展望につなげるかが注目される。