任期満了に伴い8月4日に投開票される野木町長選は、今月30日の告示まで1週間を切った。いずれも無所属で、5選を目指す現職真瀬宏子(ませひろこ)氏(78)=自民、公明推薦=と、新人で元町議会議長黒川広(くろかわひろし)氏(74)、元町議会副議長舘野崇泰(たてのたかやす)氏(49)、元県職員伏木徹(ふせぎとおる)氏(55)が立候補を表明。8年ぶりとなる選挙戦は、4期16年の実績か、刷新か-を争点に、過去最多の4人による激戦が展開される見通しだ。
自民党の佐藤勉(さとうつとむ)衆院議員や県議、町議、県内各地の町長らが代わる代わるマイクを握り、選挙戦に臨む真瀬氏に激励の言葉を贈った。
11日夜、野木エニスホールで開かれた総決起大会は、盤石な組織力を印象づけた。真瀬氏が「『着実な改革』をしっかりと胸に秘め、安定的に発展する野木を築き上げていく」と決意を表明すると、大きな拍手が湧き起こった。
その一方で、真瀬氏には昨年11月の出馬表明以降、「多選の是非」の問題が付きまとう。自身も「もちろん多選については考えた」と言うが、「コロナの影響で道半ばの事業が山積する。今がバトンタッチの時期ではない」と理解を求め、5期目を集大成と位置づける。
組織力で劣る3人の新人は、草の根運動を展開し、有権者への浸透を図る。
「東京圏に近い利点を生かしたまちづくりに取り組む」と立候補表明した黒川氏は、「5期20年は長い」と町政の刷新を訴える。
民間企業で培った組織運営や、それに基づく「従来の町政にない視点」をアピール。町内をくまなく歩き、自ら描く町の将来像を町民に語りかける。後援会幹部は「新住民を中心に、徐々に支持が集まっている」と手応えを語る。
舘野氏は、町長選への立候補に向け22日付で町議を辞職した。これまで町議を5期務めたほか、2011年と15年には県議選にも挑戦。過去の選挙で得た票数を基礎票として上積みを図る。
記者会見では「駅周辺の開発や町のPR強化」などの主要政策を発表。ミニ集会を積極的に開き、支持を呼びかける。
県職員を早期退職し町長選に挑む伏木氏は「現職と元議員だけの選挙では町政は変わらない」と訴え、「合併大反対」を主要政策として掲げる。後援会事務所を置くJR野木駅西口などでビラを配布するなどして、無党派層などへの浸透を目指す。
今回の選挙では、21日投開票の小山市長選で大勝した浅野正富(あさのまさとみ)氏を支援し、存在感を示した立憲民主党の藤岡隆雄(ふじおかたかお)衆院議員の動向にも注目が集まる。下野新聞社の取材に藤岡氏は「あらゆる可能性を視野に、熟慮したい」としている。