【宇都宮】市職員への迷惑行為「カスタマーハラスメント(カスハラ)」が増加していることを受け、市は本年度、対策強化に乗り出した。市が昨年実施した職員アンケートでは、「過去5年間に迷惑行為を受けた」との回答が半数を超え、被害の状況が明らかになった。今月から来庁者による庁舎内の無断撮影や録音を禁止したほか、通話録音装置の導入や職員証の表記見直しも順次進める。
全国的に悪質クレームや不当要求などカスハラの問題が顕在化する中、市は昨年12月、実態把握へ職員を対象とした「来庁者による迷惑行為などに関するアンケート」を実施。職員約3400人中、約900人が回答した。
「過去5年間に迷惑行為を受けたことがある」のほか、「過去5年間に迷惑行為が増えたと感じる」とする回答も過半数に上った。実際に受けたカスハラは「侮辱や大声で威圧するなど乱暴な言動」が最も多く、「不必要・執拗(しつよう)な上司への面会要求」が続いた。「無断撮影・録音・録画」の被害も複数あり、インターネットにアップされた事例も寄せられたという。
アンケート結果を受けて、市は対応策を検討。市庁舎管理規則を改正し、今月から婚姻届提出時の記念撮影など正当な理由によるケースを除き、庁舎内の無断撮影や録音、録画、放送を禁止した。カスハラに関する職員研修も強化し、研修プログラムで迷惑行為対策における管理監督職の役割を明記したほか、クレーム対応研修の実施回数を増やす。
来年1月には本庁舎に録音機能付き電話を導入。職員証も、来年4月の切り替え時期に合わせて現行のフルネーム表記を名字のみに変更する。
市危機管理課の担当者は「無断撮影の対応など相談が寄せられたケースもあったが、アンケートで被害の状況がより明らかになった。安心して働ける職場環境へ、庁舎内の防犯カメラの増設などさらなる対応策も検討していきたい」としている。