こども家庭センターの職員と打ち合わせをする公認心理師の中山さん(中央)

 【那須烏山】市の2023年度の出生数(速報値)は前年度比23人(26・4%)減の64人で、過去最少だったことが26日までに分かった。ピークは烏山、南那須の両町が合併して市となった05年度の193人で、その33・2%にとどまる。市内に働き口が少なく、若年層の市外流出などが要因とみられる。「危機的段階」と捉える市は本年度、新たな子育て支援事業などに取り組む。

 市の出生数は05年度をピークに減少傾向が続く。19年度に90人となって初めて100人を割り、その後は90人前後で推移していた。

 市こども課は、働き口の少なさの他、結婚を希望しない若者の増加などを減少の要因に挙げる。同課の水上和明(みずかみかずあき)課長は「庁内全体で少子化対策を進めなければいけない」と力を込める。

 新たな子育て支援策として市は本年度、1カ月児健診と先天性股関節脱臼検診の費用をともに5千円を上限に助成。また流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)の予防接種費用も2回まで計6千円を上限に助成する。

 子育て環境の充実などを目指し、同課内に「こども家庭センター」を新設。新たに採用した公認心理師の中山孝之(なかやまたかゆき)さん(40)を配置した。子どもや保護者からの幅広い相談に、専門的な視点から速やかに対応できる体制を整備した。

 市は27年度の出生数の目標を120人に設定。若年層の結婚促進策として、39歳以下の市内の男女に対し、とちぎ結婚支援センターの登録料1万円を全額補助する取り組みも本年度新たに始めた。

 同センター長を兼ねる水上課長は「ささいなことでもセンターを活用してほしい。子育て家庭への手厚い支援を展開し、少子化を打開したい」と話した。