表彰を受ける伊原さん(右)

 【大田原】県内の学術、教育文化の振興に功績があった人を顕彰する第5回大関作新館賞に、漆の文化財修復などを手がけてきた日光市在住、県伝統工芸士伊原実穂(いはらみほ)さん(38)が選ばれ20日、堀之内の市ピアートホールで授賞式が行われた。

 賞は旧黒羽藩主大関家と藩校「作新館」の志を現代に生かそうと創設され、地元の有志らによる実行委員会が主催している。

 伊原さんは日光市生まれ。石川県輪島市の県輪島漆芸技術研修所などで学んだ。日光堆朱(ついしゅ)の県伝統工芸士である一方、本県内を中心とする文化財修復・保護に携わってきた。

 授賞式で実行委の蓮実淳夫(はすみあつお)副委員長(83)は交流サイト(SNS)などでの情報発信も踏まえ「文化財の保存技術の重要性を広く伝えてもらいたい」などと述べた。

 伊原さんは「文化財保護を取り巻く環境は厳しいが、力を尽くしたい」と述べた。能登半島地震の被害に胸を痛め「能登と栃木をつなげられれば」などと語った。