農場内で防疫作業に当たる県職員ら=2月17日午前、栃木市内(県提供)

 栃木市の養豚場で発生した豚熱(CSF)で、農林水産省は8日、疫学調査結果概要を公表した。ウイルスを持ち込ませないよう、飼養衛生管理基準で示されている農場に入る前の作業着や長靴の交換といった対策は行われていた。一方、手指消毒や手袋着用など一部対策で不備が指摘された。

 同農場では2月16日に感染が判明し、約1300頭が殺処分された。調査によると、陽性が確認されたのは離乳豚の豚舎だった。

 農場では出入りする車両の消毒、業者の防護服着用や手指消毒なども実施。ただ農場主と従業員が、豚舎の並ぶ衛生管理区域に入る際や離乳豚を扱う前の手指消毒などは不足していた。

 ハード面では、小動物の侵入を防ぐため豚舎周辺を柵などで包囲していた。農場入り口の柵などに隙間が確認されたが、ウイルスを媒介する小動物の死骸は農場内で見つからなかった。

 同省は詳細なデータを基に今後、ウイルスの侵入経路を考察し、公表する方針。県畜産振興課は「引き続き、対策の徹底を指導していく」と強調した。

 一方、2022年に那須烏山市の大規模養豚場で発生した豚熱の疫学調査結果はまだ公表されていない。家畜伝染病予防法違反の疑いで農場管理者らが書類送検されたのを受け、同省は「公判への影響を踏まえ、当面の公表は差し控える」としている。